育ってきた環境が違う人同士の結婚を「格差婚」と呼ぶことがあります。芸能人なら知名度や活躍ぶりなどで比較されがちですが、一般の人たちの場合は学歴や家柄、勤めている会社などが挙げられます。この令和の時代に、さすがに古臭い価値観では? と言いたいところですが、「そんな人と結婚したってうまくいかないって!」と反対されると迷いが生じてしまうかも……。果たして、親や周囲に反対されがちな「格差婚」は本当にうまくいかないものなのでしょうか? BE・LOVEで連載中の『東大くんと元ギャルさん 〜格差婚ロワイヤル〜』も、タイトル通り“格差”のある二人の物語。果たして二人は幸せになれるのか!?

東大卒のエリートで銀行勤務、いずれは大会社を継ぐことになっている男性と結婚することになったら、「玉の輿じゃん!」と言われるのは間違いないでしょう。ただ、やっかみ半分で「苦労しそう」と言われることもあるかもしれません。

 

『東大くんと元ギャルさん 〜格差婚ロワイヤル』の、“元ギャルさん”とは、高卒元ギャルで現在は八王子にある庶民的な居酒屋で働く厚井真夏(あつい・まなつ)という30歳の女性(名前からして情熱的!)。学なし、品なし、将来性なしのド庶民女ですが、裏表のない真っ直ぐな性格で、いるだけでその場が明るくなるキャラ。だから、居酒屋はいつも彼女目当ての常連客で賑わっています。

一方の“東大くん”は、大手銀行勤務の東条秀太郎36歳。幼い頃から、祖父が興した年商800億円企業の代表取締役に就くものと思われてきました。スペック的にはまさに勝ち組。幼い頃から将来を期待され続けた秀太郎自身もそのことはわかっており、周囲の顔色を伺いながらここまで来ました。銀行で結果を出そうと必死に頑張っても、「どうせ腰かけだろ」と陰口を叩かれ、失敗すれば「特別待遇だから、どうせ左遷されないんだろ」と言われ、どちらに転んでも自分自身が認められることはありませんでした。

 

そのことに気づいてしまった秀太郎が、生きる意味を見失ってしまっても無理はありません。仕事で多額の損失を出してしまったある日、帰宅途中の電車で自分の意志とは関係なくレールが定まった人生に愕然としているうちに降りる駅を通り過ぎてしまい、気づけば八王子に着いていました。駅前で目に留まった居酒屋に立ち寄り、再び駅に戻ります。店で秀太郎が座っていたテーブルには、手帳が残されたままでした。

それを見つけたのが、この居酒屋で働く真夏。その頃、秀太郎は駅のホームに進入する電車を虚ろな目で見ながら、吸い込まれそうになっていました。その瞬間、「おにーさーん!!! 忘れ物!!」という真夏の叫び声がホームに響き渡り、秀太郎はホームに踏みとどまります。

 

真夏が仕事を抜けて必死で探したのには理由がありました。手帳には遺書めいた言葉が書き残されていたからです。真夏は自動販売機でおしるこを買い、「あんた 脳みそ使いすぎて疲れてんだよ 甘いもん 飲むといいらしいよ??」と秀太郎に差し出します。そして、「よかったらおねーさんに話してみ? 二度と会うこともないんだしさ」と言葉をかけ、秀太郎の背中をさすりました。堰を切ったように涙を流す秀太郎。

 

こうして、普通に暮らしていたら全くもって接点がなさそうな、“東大くん”と“元ギャルさん”は出会い、恋に落ちたのでした。やがて秀太郎は人生で一番の勇気をふりしぼって真夏に告白。真夏も、「あたしも秀太郎のこと 好きだよ」と受け入れます。ショックを受けたのは、真夏と一緒に居酒屋で働いているマサ。真夏の小さい頃からの同級生で真夏に思いを寄せていたのです。マサの兄は店長として客の秀太郎の人柄を間近で見ていたので二人の交際を喜びますが、秀太郎が真夏とは対照的な、いいところのお坊ちゃんらしいことが引っかかっています。細かいことが考えられないたちの真夏は、「なんとかなんじゃね??」と思っていますが、実はなんとかならなくて……。

その頃、秀太郎の実家では、母・百合子が入浴中の息子の部屋に入り、手慣れた様子でスマートフォンのロックを解除。真夏と秀太郎のやりとりをチェックしていたのでした。36歳の息子のスマホを勝手に見る母親って、ヤバさしかない!

 

というわけで、息子の妻にふさわしくないと思われる真夏を排除しようとする百合子と真夏のバトルの火蓋が切って落とされることになります。

1話は、秀太郎と真夏が奇跡的に出会い、二人が相思相愛になるまでのハッピーで微笑ましい馴れ初めにこちらまで幸せな気分になれるのですが、最後に登場する百合子で一気に肝を冷やされます。百合子のやり口は狡猾で、この先、昼ドラ的な展開が待ち構えています。人の心の隙間に巧みに付け入り、疑心暗鬼にさせるのはお手のもの。

確かに真夏には学はなく、単純で直情径行、人によってはガサツに見えるかもしれません。だからこそ、彼女の言動に嘘偽りはありません。真夏が秀太郎の告白を受け入れた時、好きになるのに理由なんてなく、「秀太郎 鮭の皮食えないじゃん? あたし好きじゃん? 一緒にメシ食うとき ちょうどいいじゃん?」などといろいろ例を挙げた上で、「ピッタリじゃん」ととびきりの笑顔を見せます。

「格差婚」といえば、お互いが違い過ぎるがゆえに、「合わない」「うまくいかない」と言われがちで、違うところばかり気になってしまうわけですが、違うからこそピッタリ合うという真夏のとらえ方は心に刺さります。いつも周囲の顔色ばかり伺ってきた秀太郎だけでなく、きっと読み手も「惚れてまうやろ!」と思うはず。1月20日に1巻(電子版)が発売されたばかりで、読むと一気読み間違いなしですし、真夏に元気をもらえるのも間違いなしです。

 

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『東大くんと元ギャルさん 〜格差婚ロワイヤル〜』
あいだ夏波 講談社

東大卒エリートと元ギャルが恋に落ちた! 家の格式、しきたり、お姑様…次々と元ギャル・真夏(まなつ)に困難が立ちはだかり!? 『スイッチガール!!』・『奈落の花』のあいだ夏波が描く、読むと元気になる爽快嫁姑バトル!!