ファッションスタイリスト佐藤佳菜子さんが日常のおしゃれについてのアイデアや思いを綴る連載です。
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仕事をしている場で、こんなに気が合う人間に巡り会うとはあまり期待していなかった。普段、仕事柄、これだけたくさんのモノに囲まれていると、タイプの靴や素敵なジャケットにバッグなど、どうしても連れて帰りたい欲がとめられない、あれやこれに出会うチャンスはまぁまぁ、ある。でも、人間は稀。マレ。
その気の合う人とは、ファッションエディターで「uncrave WHITE(アンクレイヴ ホワイト)」のディレクターでもある、最愛の親友「東原妙子」のこと。
それで、その人がこれまた見過ごせないすばらしい服を作ってくるものだから、どうしたって贔屓にしてしまう。人間だもの。
はいているのが、東原妙子×みんな大好き「アッパーハイツ」のコラボデニム「THE FIG」。
最近、細めのデニムを好んではいていたのだけれど、だんだんそれにも飽きてきたな、といういいタイミングでやってきたこの人。ハイウエストで、腰から太ももに丸みがあって、まるでイチジクみたいな形というところからついたこの名前。80年代にお母さんたちがはいていたようなデニムです。
昔のファッションといえば、私たち妙齢の婦人たちには、つい最近のことに感じる90年代のファッションもリバイバルしているようですのよ、奥様。うれし懐かしい気持ちと、経った年月にがっかりする気持ちが入り混じる「人生2周目のトレンド」。1回目のときと、まったく同じようにコーディネートしてしまうと、ただの古い人になってしまうので中年の婦人には細心の注意が必要な「人生2周目のトレンド」。緊張と期待と不安が入り混じる。それはもうほどんど恋。
久しぶりにオーバーサイズのトップスを脱ぎ捨てて、ぴたぴたのカットソーを合わせて脳内イメージは「ボンっ・きゅっ・ボンっ」。だが実際は、「ぽかッ・ホンっ・タスっ」という感じなのが無念なのだが、それでもめげずに新鮮なバランスを楽しんでいます。その時々でバランスは変われど、「カットソー×デニム」という組み合わせだけで、これまでいったい何度、人生で喜びを見出してきたのかと考えると、尊いぞ、デニム。
90年代といえば、ブリトニー・スピアーズが引き締まったお腹を出して、パリス・ヒルトンが小脇にチワワを抱えてピンクのきらきらした服を纏っていた時代。その頃、誰しもが髪につけていたヘアクリップもまた流行っていて、最近、ヘイリー・ビーバーが無造作に髪をまとめている写真をみてテンションが上がり、わたしも買ってみたのですが、気づけばわたしは、まんまるまる子ヘア。無造作にまとめる髪などどこにあるのだ。結果、ときおり、お風呂上がりに前髪をまとめるという瑣末な任務しか与えられていないこの人の無念さはいかほどか。花瓶の花も同情して萎れてきている。
それはそうと、今朝、ピグミさまが入浴なさいました。お風呂上がりにいい匂いがするというのは人間界の定説。でも、犬のお風呂上がりはなぜか、たった今洗ったばかりだというのに、ケモノの匂いがするのが不思議です。乾ききるとまた、枝豆を茹でたような、乾いたコーンのような、小麦のような、いつもの匂いに戻るのですけどね。
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文/佐藤佳菜子
構成/高橋香奈子
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