ウクライナ情勢が深刻になっていることから、原油価格がさらに上昇しています。原油価格が上がると、間もなく電気料金、ガス料金、ガソリン価格などが上昇し、その後、時間を置いて多くの製品が値上がりします。目先、もっとも影響が大きいのは電気やガス、ガソリンでしょう。

米欧がロシア産原油の禁輸措置の検討に入ったことから、原油の供給不足が懸念されており、原油価格が急上昇しています。一部の先物市場では1バレルあたり140ドルに迫る場面もありました。2021年は60ドルから70ドルの範囲で動いていましたから、この水準が続けば価格が約2倍に上昇したことになります。

原油高騰の影響はどこまで?意外と知らない「電気料金の算出方法」とは_img0
3月8日、原油や天然ガスといったロシア産エネルギー資源の輸入禁止を発表したアメリカのバイデン大領領。写真:ロイター/アフロ
 

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多くの電力会社が値上げを行っていますから、すでに皆さんの家計にも大打撃だと思いますが、基本的に電気代やガス代はエネルギー価格に連動して動きます。

例えば電気代は、基本料金に、毎月の使用量に応じた金額を加えた額が徴収されるのですが、使用量に応じた金額の中に「燃料費調整額」という項目が含まれています。これはエネルギー価格の変動によるコスト増減を調整するものです。

現時点において日本の主力電源は火力ですが、電力会社によってどの燃料を使っているのかという比率は異なります。このため電力会社ごとに、原油価格、天然ガス価格、石炭価格に一定の係数を掛けて、平均的な燃料コストを計算し、このコストが基準値と比較して、どれだけ上がっているのか(下がっているのか)で料金を調整します。このコストは3カ月の平均値を用い、コストを計算してから2カ月後の電気料金に反映されるので、エネルギー価格の上昇から少しタイムラグを置いて値上げとなります。

ちなみに、原油、天然ガス、石炭はそれぞれ別々の市場で取引されますが、原油価格が上がると、たいてい、天然ガスや石炭も上昇しますので、おおよそ原油価格に比例すると考えて差し支えありません。

 
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