病院に運ばれてからもしばらく危険な状態が続いた熊本さんでしたが、その後容体は安定し、人工心肺を外すことに。しかし外した後に自分の心臓がきちんと動き出すかが最初の難関。また心臓が動いても意識が戻らないことも考えられ、家族の誰もが「もしも」の時のことを想像していました。

しかし、熊本さんは奇跡的に回復! 目を覚ましたのです。喜びに湧き立つ家族でしたが……。

 
 
 

意識は回復したものの、熊本さんはまるで人が変わったように凶暴に! 心肺停止による酸素不足で脳がダメージを受け、障害が残っていたのです。熊本さんにとって、長く険しい道のりが始まろうとしていました。


心臓病を防ぐ完璧な方法はない!


「どこか悪かったのかしら」「あんなに元気だったのにどうして……」。誰かが突然倒れると、周囲からは決まってこんな言葉が聞かれますよね。もしかしたら次は自分かも? そんな不安から、つい決定的な原因を突き止めたくなりますが、本書を監修した鈴木先生は「何かをしたら防げるという発想ではだめ」と警鐘を鳴らします。

「どうすれば防げるかという質問は患者さんにもよく聞かれますが、そんな方法があれば、私も一番最初に言っています。心臓病に関しては、できることは検診を受けるとか、生活習慣を整える、なるべくストレスを避けることくらいでしょう。何よりも、痛みなどの症状があったら早めに受診すること。心臓病の予防にはなりませんが、重症化の予防には役立ってくれます」

 

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『山手線で心肺停止! アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて』
熊本美加・著 上野りゅうじん・漫画 鈴木健之・監修 1320円 講談社

毎年の健康診断では「問題なし」だったアラフィフの医療ライターが、ある朝、山手線で心肺停止に。予兆はなかったのか? その時、生死を分けたものとは? その後、高次脳機能障害となるもリハビリを経て仕事復帰するまでをまとめた「蘇りルポ」をコミック化。主治医の監修付きで実用書籍にしました。自分と大切な人のために、読んでおきたい一冊です。



熊本 美加
東京生まれ・札幌育ち。医療ライター、性の健康カウンセラー。大学卒業後、広告制作会社などを経てフリーライターに。更年期ウイメンズ&メンズヘルス、性感染症予防・啓発、性の健康についての記事を執筆。2019年に電車内で心肺停止で倒れ救急搬送され蘇る体験以後、救命救急、高次脳機能障害、リハビリについても情報発信中。



上野りゅうじん
2017年「うちのへそ曲がり!!」でデビュー。ママスタセレクト漫画・記事挿絵などを担当。『オカン DAYS』(講談社)、『ママのうつ病をなめてたら死にそうになりました』(ぶんか社)が発売中。漫画で参加した『マンガでわかるポイント投資 100ポイントあったら「株」を買いなさい!』(安恒理著、講談社)、『女はいつまで女ですか? 莉子の結論』(KADOKAWA)がある。


漫画/上野りゅうじん
構成/山崎 恵

 

 
 

第1回「山手線で心肺停止!50代医療ライターが見逃した2週間前の予兆「毎日同じ時間に、同じ場所が」」>>

第2回「山手線で心肺停止!救急隊到着までの20分、私の命を繋いだもの「下がるのは“蘇生率”だけじゃなかった」」>>

 
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