華やかな色やアイテムを取り入れた心躍るスタイリングに定評のあるスタイリスト乾千恵さん。私服コーディネートを通して、乾さん流のファッションとの付き合い方を紐解いていきます。
今回のテーマは「セルフヴィンテージ」。ミニマルなクローゼットや注目が集まる中、服を長く大切に持ち続けたことでわかるファッションの醍醐味を教えてもらいます。
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破れた袖をカットしてでも着続けたい
イザベルマランのワンピース
服を手放す基準は、人それぞれ少しずつ違うと思うんです。たとえば“2シーズン着なかったら”とか期間を基準にする方もいると思うし、“見たときにときめくかどうか”といった気持ちが基準の方もいますよね。それでいうと私は基本的に“気持ち”が基準ですが、正直なところ一枚一枚に思い入れがある。特に大好きなワンピースはだいたい70着くらいありますが、それでもちゃんと厳選した買ったものだけで、何があるかは把握しています。もちろん毎シーズン必ず着るわけではありませんが、5年くらい着なかったけど、久しぶりに今年は着たいと思う服も結構あって。ベースの自分の好みがずっと変わらないからだと思うんですが、もう20年くらい前に買ったバッグを、最近になってまた使っているなんてこともよくあります。さらにいうと破れたりしても着続けたい服というのもあって。
たとえば今着ているイザベルマランのワンピース。実はもともとは長袖だったんです。仕事でスタイリングをしているときってよく動くので、勢い余ってビリッと……。長袖が5分袖になり、今はノースリーブに。もしかしたら最初に破れてしまったときに手放すという選択もあったかもしれないのですが、繊細な生地やプリント、シルエットは他にはない一着は、たとえ形が変わっても着るだろうという予感があって、お直しに持っていって破れた部分をカットして整えてもらいました。案の定、袖が短くなってもお気に入りであることは変わらず、その後も何度かお直しに出しながら着続けています。
もしかしたらデザイナーさんの思いとは違うのかも知れないけれど、ノースリーブになった今の状態も私は好き。今回のスタイリングのようなデニムとのレイヤードにもちょうどよいなと思っています。少しずつ変えながらもずっと着続けたい服があるのはとても幸せなことです。
思い入れのある服ばかりで、なかなか手放すことができないタイプではあるのですが、唯一パッと決断ができるとしたら、洗濯やクリーニングではどうにもできない汚れや黄ばみ、そして色褪せを感じたとき。どんなおしゃれをするにしても清潔感は不可欠なので、このときだけは潔く手放すことができるんです。
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