劇団☆新感線がこの秋に満を持して上演するのは、日々のネガティブな気分を蹴散らしてくれる最大級のエンターテインメント! あの『薔薇とサムライ』の続編が12年ぶりに上演されます。

 

天海祐希さんを迎えて2010年に上演された『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive』は、古田新太さん演じる石川五右衛門が大暴れをするストーリーが人気の『五右衛門ロック』シリーズの作品です。ちゃらんぽらんに見えながらも、常に弱きを助け強きをくじくスーパーヒーローの五右衛門が、なぜか17世紀のヨーロッパで天海さん扮する女海賊・アンヌと出会い、悪党を一掃していくという疾風怒濤かつ痛快無比な展開に加えて、天海さんが男装をはじめとした数々の衣装を着こなしたことも話題となり、チケットが早々にソールドアウトした超話題作でした。

今回上演されるのは、その続編。『薔薇とサムライ2 -海賊女王の帰還-』というタイトルで、主演はもちろん古田新太さんと天海祐希さん。さらに劇団☆新感線に初参加の若手俳優さんたちを引き連れ、満を持して五右衛門とアンヌが帰ってきます。そこで、石川五右衛門を演じられる古田新太さんとアンヌを演じる天海祐希さんのおふたりにたっぷりとお話を伺いました!

 


観客がいないと出オチが通用しない。オイラたちは無力だなって


「こんなご時世だから日々のネガティブな気分を蹴散らすエンターテインメントを」と会見でもお話がありました。コロナ禍でエンターテインメント業界は現在も大きな打撃を受け続けています。そのような時期を過ごしてきて、役者としておふたりの心境に変化などはあったのでしょうか?


天海祐希さん(以下、天海):心境の変化、というのは特にありませんでした。ただ、いつも思うんです。私たちは“即戦力”ではないんだと。医療従事者でもないし、救命救急の方とも違います。ちょっとみんなの心が「笑いたいな」「楽しくなりたいな」というときに必要にしてもらえるものであったりするので、それまでは力を蓄えておこうと思いましたし、同時にどこかで私たちの仕事が必要であってほしいと切に思いました。いろんな舞台が中止になってしまいましたが、そういったことが起きるたびに私たちの仕事は必要であるとみなさんに感じてほしかったですね。

 

古田新太さん(以下、古田):オイラは去年、一昨年は「不要不急って俺たちのことだな」って思ってました。今はYouTubeやTikTokとか流行っていてみんなが見ているけれど、オイラは根が舞台屋さんなので無観客で舞台をやったときに「なんてオイラたちは無能なんだろう」って感じて。まず、観客がいないと出オチが通用しない(笑)。我々がよくやる【ブリーフにコートを着た状態】で客前に出ても、シーンとしちゃうから。

天海:それ、悲しい(笑)。

古田:これは本当にダメだなって。無力だなって思いましたよ。

天海:変な例えだけど、露出狂の人がキャーって言ってもらえないわけですもんね(笑)

古田:以前、フランス公演で客席に降りて客いじりしたときに、「字幕読めないから、オマエ邪魔だよ」って言われたときくらい、無力感を感じたね(笑)。オイラたち、毎年フェスの真似事みたいなのをやっていて、去年も年末にバンドを3つにして客席も間引いてやったんだけど、そのときに発覚したのが“コール&レスポンス”ができないってこと。「オー!」「イェーイ」ができないから、ハミングにしたの。「ン~!」って言ったら「ン~!」って返す(笑)。

天海:ぬるい(笑)。でもぬるくてもあるほうがいいですよね。

古田:本当に、それはそうなんだよ。冠(徹弥)とか教祖(イコマノリユキ)とかも出ていたんだけど、彼らもライブしてなんぼというバンドだから、そういうのが絶対にできないわけ。仲間にPANってバンドがあるんだけど、PANは客席に食パンを投げるのが上手なの(笑)。

で、ライブ中に「欲しい人!」って聞いて、手を挙げたお客さんのところにパンを投げて、「ウォー!」って盛り上がるんだけど、去年と一昨年やったときは食パンがビニールに入ってて(笑)。そういうのがもう本当に窮屈で仕方がないって思います。でも、舞台をやっているオイラたちは本当に最大限気を付けてやってるわけだから、いい加減に何らかの手段が講じられないと、そういった文化自体がなくなってしまうなぁって。

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