「自分はこれでいい」という自己への信頼は素敵


いつも人目を気にして、リアルでもオンラインでも自分をどう見せるかに汲々としている人が多い世間体だらけのご時世に、「服に限らず、誰に何を言われても構わない、私の好きにするって思っていた」ってとってもヘルシーで素敵なことだと思いませんか。そう言い切れるのはかっこいいし、何より当人がハッピーですよね。好きな推しがある、そのグッズを身につけるのは楽しい、それのどこがいけないんでしょう?

先日テレビ番組で、人のファン心理を研究している専門家が「人が何かのファンになるのは、同じものを好きな仲間と出会い“自分はこれでいい”と思えるから」と話していました。自分で自分を認めて受け入れ、誇れるってとても大事なことですよね。たとえホテルのティールームに不似合いな格好であったとしても、なぜそんな健やかでナチュラルハッピーな彼女を泣かせるようなことをしたんでしょう、その幼馴染は。かわいそうに。

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幼馴染さんはおそらく周囲の目を気にして、目立つ服装のオタクの彼女と一緒にいる自分が垢抜けない女に見えるのではないかと不安になったのだろうと思います。幼馴染さんは、推しキャラ好きの彼女と違って「自分はこれでいい」という自己への信頼が確立していないのでしょう。一緒にいる友人によって自分の価値をはかっているのではないかと思います。

 


私も20代の頃は、男性と待ち合わせをしたときに向こうからやってくる相手の姿を見て「あの服装はなくない? あんな人と待ち合わせてる私ってダサい女だな」と惨めな気持ちになったことがありました。相手に失礼なことこの上ないですよね。一方その当時、ある私の友人は、デートに時代遅れのセカンドバッグを持ってくる恋人を「きっと中身に自信があるから外見に構わないんだな」と好ましく感じていたそうです。その話を聞いて、彼女は私よりも遥かに自尊心がヘルシーだな、と心から敬服し眩しく思ったものです。当時の私は自身に依って立つことができず、一緒にいる人に引き上げてもらおうと思っていたんですね。その弱さを自覚していたけど、なかなか自立できなかった。