ファッションスタイリスト佐藤佳菜子さんが日常に感じる思いを綴る連載です。

 


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生きるために働くのか。
働くために生きるのか。

仕事をいただけるのは、とんでもなくありがたく、ただただ、そのことに関しては、ひたすら感謝しかない。こんなに好きなことをやっているだけで、お金までいただけるなんて、わたしは恵まれている。ただ、頭をよぎっているのは、いまの自分の「人生の時間割」について。今のわたしは果たしてどっちなのだ。

毎年夏は繁忙期で、まとまった夏休みが取れない。このご時世なので、なるべく周りの人に迷惑をおかけしないようにという気持ちもあって、毎日毎日、粛々と仕事だけをしていた。それに趣味は仕事で、仕事が趣味だ。ちょうど都合がよい。

でも、そうしていたら身体中になにかが沈殿してきた。水に流そうと思った。

 

都内のホテルのプールは、最小限のストレスと労力で、簡単に浄化ができる場所として、この夏、わたしの中で、神の国となった。まず近い。タクシーにぱっと乗るだけでたどり着ける。そして、必要な装備はたったの水着一枚。タオルもチェアも飲み物もシャワーも何もかも、神の国から拝借できる。そして、まったく泳げないポンコツなわたしに浮き輪まで貸してくださる。

疲れた身体をチェアに横たえる。陽気な太陽にあたり、そよ風に吹かれているだけでも、オリのように沈んでいた沈殿物が成仏していくのがわかる。そして文字通り、まんまんに湛えられた水にすべてを流してデトックス完了。

 

メンタルが清潔になった人間は、くだらないことは考えない。もうすでに、生きるために働いているのか、働くために生きているのか、などという疑問自体がどうでもよくなっていて、それに答えを出すことなど、とっくに興味を失っている。それでよい。それでまた明日から働けばよい。

 

というわけで、今年は例年にも増して黒いですけれども、心身ともに健康であれば、肌の色は何色でもよいです。

ホテルプールの良きパートナーとなっている、メリッサさん。靴/メリッサ
 


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バナー画像撮影/川﨑一貴(MOUSTACHE)
文/佐藤佳菜子
構成/高橋香奈子
 


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