ファッションエディターの発田美穂さんが、大人世代におすすめしたいアイテムやコーディネート術、テクニックをご紹介します。
今シーズンのトレンドアイテムの中でも、特に大人におすすめのアイテムとして、あちこちの雑誌で特集されているもの。それは「ジレ」。
袖なしジャケットっていうか、要はベストですね。襟もとはテーラードだったり、ノーカラーだったり、素材もウールやニット、ファーなど、バリエーションは実にさまざま。
で、早速取り入れております!
ジレって素敵なアイテムであることは間違いないんですけど、でも、みんながどこか心の奥底で思っていることを、私、口に出しちゃいます。「おしゃれだけど、正直あってもなくてもいいアイテムなんじゃなかろか」。
はい、言っちゃいました。言っちゃいましたね……。
だって、そりゃそうです。ジャケットなのに袖がない。防寒、という観点で言えば、明らかに必要ありません。だって腕がスースーする。
さらに、私が着ているようなテーラード襟のタイプだと、ジャケット的な雰囲気はありつつも、例えば緊張度の高い打ち合わせや会食など、ドレスコードとしてジャケットが必要なときにその役割を果たしてくれるわけでもありません。だって、袖がないから。
そう、中途半端。わかっています。
でも! 過去にもこのコラムで何度となくこの手の話をしていますが、何度でも言いたい。中途半端な、特に意味のないようなアイテム(言い方な!)こそがおしゃれの醍醐味なのです。
それから、「難易度の高いアイテムこそ、取り入れたもの勝ちの法則」というのもあります。多くの人が二の足を踏むようなアイテムだからこそ、勇気を出して、エイッ! と着てみると、それだけでいきなりのアドバンテージ。「ジレを着ている人」という事実だけで、3割増しにおしゃれ見え。
例えば着用の2コーデ。どちらもジレを脱いでしまえば、白T+パンツ、白T+スカートのワンツーコーデ。なんでもなさすぎるほどのコーデ。しかし、ジレを羽織るだけで、なんだか大人っぽくなるし、おしゃれ意識高い系にも見えます。
こうして考えてみると、実はコスパは悪くないんじゃないか、とすら思えてきました。どうですか、みなさん?(←誰?)ロンT、ニット、とインナーを変えつつ、初冬まで愛用するつもりでおりますよ。
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