深夜に夫と連絡がつかなかった衝撃の理由


「深夜の授乳で、体力自慢だった私も弱っていたのか、娘が6ヵ月の頃にインフルエンザになってしまいました。娘を隔離することは難しい。それでもできるだけ、隣の部屋などで過ごしたかったのですが、夫はその週末も出張で予定は変えられないというのです。

でも金曜の夜8時に、私の熱は40℃近くになり、万が一意識が混濁してしまったりしたら誰もいない家では娘の命に関わる事態に。震える手で何度も彼のスマホに電話をしたのですが、結局翌日の昼までつながらなかったんです。

どんなに忙しい仕事でも、夜の8時から1度も携帯を見ないということがあるものでしょうか。ましてや、妻がインフルエンザで赤ちゃんと2人きりだとわかっているのに……」

これまで考えないようにしていた冴子さんも、この一件で自分の中の疑惑に向き合うことになります。

夫は、本当に私と同じように家庭運営に、育児に、夫婦の関係構築に必死になっているのだろうか……?

 

後ろ指を指されながらも一緒になったのだから、絶対に添い遂げたい。1度目の結婚でうまくできなかった分、もっとうまく相手を愛して、よりよい家庭を築きたい。

 

本来真面目で、常識人であった冴子さんの祈りは、いつのまにか都合の悪い真実を見ない理由にすり替わっていました。アンソニーさんが転職すると言ったとき、夫として、父としての自覚が出たのだと自分を納得させた冴子さん。本当は、「今転職したら、ただでさえ通りにくい住宅ローンがまた組めなくなるかも?」という大事な懸念を飲み込んだと言います。

休日出勤を繰り返すわりに、なんだかリフレッシュして上機嫌で帰ってくることを、いぶかしく思ったこともありましたが、休みなく働いている彼に、家にいる自分がそんなことを言うのは良くないと思い直したそう。

夫婦は、お互いのたいていの変化には気づくもの。気づかないとしたらば、それはやはり、「外」に気が逸れている可能性が高いし、直視したくない疑惑は、たいてい「クロ」です。

アンソニーさんの「休日出勤」は、全て、友人とフットサルや飲み会、果ては1泊2日のキャンプ旅行だったことが判明したのです。