加えて野沢さんは、同じ頃に子供たちの巣立ちも経験します。

野沢:やっぱり単純に寂しいですよね。大抵の場合は、子供が18歳になって大学進学で家を離れる、というのが多いと思います。うちは上の娘は大学に行かず格闘家になったんですけど、二十歳のとき突然「彼氏と一緒に暮らすから」と出て行った。子供ってそうやって予告なくいなくなるので、「もう親はいらないよ」と言われたような気がして。父のことも重なって、50代後半は本当に精神的に厳しい時期でしたね。

しかし、これだけではまだまだ終わってくれません。さらには見た目の劣化も、40代とは比にならないくらいドッと来るのだと言います。でも目の前でお話している野沢さんは、驚くほど張りがあってみずみずしいお肌。そのことを伝えると……。

 

野沢:本当ですか!? オホホホホ。でも、こうして意識しているときはいいんですよ。問題は意識していないときで。カメラが止まっていて気を抜いているときとかに、ふとモニターに映った自分の顔を見ると、ほっぺたが垂れてほうれい線がくっきり出ていて、「フナみたいだな!」と思います。40代の頃は、「シワはたくさん笑った証だ。受け止めよう」なんて思っていたんですけど、いざ50代のシワを見ると、こんなはずじゃなかった! という動揺しかない。

 

加えて若い子の顔の区別もつかなくなってくるし、昔はあんなに流行りに敏感だったのが、流行っているものの輪郭もボヤけてくるし。かつて頓珍漢なこと言う親を笑ってバカにしていたのが、今や自分が子供の話題についていけなくなって、蚊帳の外と感じる。本当に、老いは誰にも公平に訪れます……。