20代で大きなバックパックを背負い、5大陸世界94カ国を一人旅。30代で台湾男性と国際結婚、出産、離婚を経験。ワンオペ育児に追われながらも40歳になり、ヌード写真集という新たな挑戦へ――。4万部のヒットとなった旅行記『ブラを捨て旅に出よう 貧乏乙女の“世界一周”旅行記』の著者、歩 りえこさんがたどってきた人生は「自分らしく生きる」ことを諦めない、そんな力強さを感じさせます。FRaUでも「40歳の解放」をテーマに連載を執筆する歩さんに、40歳にして服を脱ぎ捨てた理由、その背景をお聞きします。

 

歩 りえこ(あゆみ・りえこ)さん
1981年、東京都生まれ。作家・女優・タレント。清泉女子大学文学部卒業。学生時代に訪れたアメリカでノーブラで闊歩する女性の自由な姿に感銘を受け、一人旅に没頭。世界94カ国をバックパッカーとしてめぐる。その恵まれた容姿からスカウトされて芸能デビュー。モデルやキャンペーンガールなどをこなす傍ら、旅先で撮りためていた写真にエッセイをつけて発表するようになり、『エガオノオト』(自由国民社)をはじめ2014年までに書籍を5冊刊行。特に『ブラを捨て旅に出よう』(講談社)は4万部超のヒットとなり、2020年に水原希子主演でHuluにてドラマ化。最近は「ファミリーでの旅行」に関するトークショーや講演会、さらにはワークショップを開くほか、雑誌やネットへの寄稿なども精力的に行っている。FRaUでは「世界94カ国で出会った男たち」に続き、新テーマ「40歳の解放」で連載中。

 

電車の移動中も貴重な仕事時間。シングルマザーとして奮闘の日々


――本日はどうぞよろしくお願いします。

歩 りえこさん(以下、歩) こちらこそよろしくお願いします。あ、すみません、SNSでのプロモーション用に取材風景を録画させていただきたくて、少しだけセッティングのお時間いただいても大丈夫ですか? すぐ終わりますので。

――もちろんです! というか、普段から歩さんおひとりで機材セッティングもやられているんですか?

(三脚に手際よくiPhoneをセットしながら)そうなんです。YouTube動画も作ってアップしているんですが、撮影も編集も全部自分で。iPhoneだけでやっています。パソコンで作れたらいいんですが、まだまだ育ち盛りの子どもが2人いるので電車での移動時間が貴重な編集タイムです。セッティング終わりました、ありがとうございます。

――こちらこそ鮮やかなセッティングに見入ってしまいました。お子さんが2人いらっしゃるとのことですが、今おいくつなんですか。

 7歳と5歳です。上の子は小学生なんですけど、習いごとの送り迎えで子どもたちを自転車の前と後ろに乗せて漕いでいると、正直41歳の肉体からは悲鳴が聞こえてきますね(笑)。94カ国を一人で旅していた20代の頃は、数日寝なくても平気、長時間の列車移動もへっちゃらだったんですけど。

――『ブラを捨て旅に出よう』では過酷な旅の様子を綴られていますよね。ものすごくパワフルでタフな旅行記ですが、その頃と今とでは肉体的な変化も感じますか。

 やっぱり無理がきかなくなりましたよね。それと、40代からは「体のケア」が最優先事項のひとつだと実感する出来事がありまして。35歳の時に受けた子宮頸がん検診で、子宮頸がんの前がん病変(子宮頸部異形成)で中等度異形成と診断されて、ずっと経過観察していたんですね。でも、40歳の検診で高度異形成に変化しているとわかって。半年に1回定期検診を受けていたのに、急になぜ……という気持ちでした。その後、子宮頚部円錐切除術を受けて、今は術後の経過観察中です。5年前に台湾人の元夫と離婚してから、シングルマザーとして2人の子どもを育てているので、健康管理にはこれまで以上に気をつけようと思いました。
 

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写真で振り返る、歩りえこさんの軌跡
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1枚目:20代での世界94カ国一人旅。インドのガンガー上流にて/2枚目:33歳で台湾男性と結婚し、現地で出産。35歳で離婚/3枚目:40歳でのヌード写真集撮影前に、トレーニングに励むひとコマ/4枚目:写真集『スフィア』からの美しい1枚(写真1〜3/提供:歩りえこ、写真4/撮影:山岸 伸)