いきなりオカルトチックな話ですが、誰しも守護霊という存在が自分の後ろについている。そんな話を聞いたことはないでしょうか。もしその守護霊というものが、一人じゃ泣き寝入りしていたことも共に恨みを晴らしてくれる存在だったら? 男に騙されて仕事も失ったOLとオネエな守護霊が恨みを晴らす珍道中というぶっ飛んだ設定の『ゴゴゴゴーゴーゴースト』は3巻が10月7日に発売されました。
元カレは会社の先輩であり既婚者だった。社内不倫のせいで、やっと入った一流企業を退職する羽目になったOLの明智ウシロ。その上、元カレの妻からは慰謝料を請求され、再就職先の三流企業ではパワハラ上司にいびられ正社員になれずに胃が痛い毎日を過ごしています。
自暴自棄になり、胃痛をごまかそうと大量の胃薬と酒を一緒に飲んだところ、倒れて頭を打った彼女。起きるとすぐ目の前にロン毛の男性が!? ⋯⋯口調からしてオネエのようです。頭には三角の布が!?
彼、いや、彼女は正子と名乗り、ウシロの守護霊なのだと言います。ウシロが再就職を決めた頃、守護霊がいないまま、たくさんの禍々しい悪霊に取り憑かれていた彼女を見かけた正子は「この子死んじゃうと思ってうっかり取り憑いた」のだそう。それ以来、正子は必殺技で度々ウシロを守ってきたのでした。
ウシロは、おかしな宗教やカラスを引き寄せるほど弱っていたのです。そして今、彼女は幽体離脱状態になっている。つまり死にかけているのでした。
「正子はず〜〜っと見てくれてたのね 私が頑張っているところ」「ナイスガッツだったわよ」
「じゃ〜〜わかってくれるよね?」と言うウシロ。
「このまま死んでもいいかな?」
彼女はもう死にたかったのです。どれだけ死にたいのか。彼氏のゆー先輩に一方的に別れを告げられ、家まで押しかけた時のことを語る彼女。
「離婚する」という彼の言葉を信じていただけなのに、とことん嫌われ蔑まれた。雨の中、突き飛ばされたウシロはつぶやきます。
私のこと愛してるって言ったじゃん⋯⋯
あの日、もう私は殺されたようなものだ。
今では慰謝料を払う側。事あるごとに思い出すし、忘れるのも受け入れるのもキツい。死んだ方がマシ、というウシロに正子は言います。
「生きるっきゃなくない?」
私と人生のやり直しをしないか、と持ちかける正子。
「私があいつを祟るから アンタ生きてみなさいよ」
正子との会話で本当の望みに気づけたウシロ。自分がしたかったのは死ぬことじゃなかったのです。
元彼への恨みを晴らすことを目標に、ウシロの人生再起への道がはじまります。
霊や恨みというのでもっとおどろおどろしいかと思いきや、ウシロと正子が、元彼やパワハラ上司への恨みを明るく晴らしていく姿は、水戸黄門的な勧善懲悪でスカッと爽快。オネエ口調の正子は普段は軽いノリですが、祟るために本気を出すと、途端に怖いビジュアルに変貌。ウシロのことを文字通り全身全霊で見守ってくれているのです。こんな守護霊がいたらいいのに〜。
そして、怒りや悲しみ、悔しさの感情を溜めこみ続けるのって霊より何より一番おそろしい! ウシロは失恋で絶望してからどんどん運気が下がり、自分の感情が変化していたのにも気づかず、胃が痛くなっても薬でごまかしていました。なかったことにしているとどんどん心身を蝕む負の感情の怖さ。正子と出逢った彼女が決めたのが「これからは自分に正直になろう」ということ。復讐してやる! と腹をくくった彼女と正子の本気霊モードは怖いのだけど、スッキリ痛快なのはきっと正直に生きることにしたから。負の感情がわきあがってきた時、見ないフリをしているとあなたも悪霊に取り憑かれてしまうかも⋯⋯。
【漫画】『ゴゴゴゴーゴーゴースト』第1話を試し読み!
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『ゴゴゴゴーゴーゴースト』
蛭塚都 (著)
社内不倫で弄ばれた傷心ダメOLの明智ウシロ。彼女の前に突然現れたのは、オネエゴースト・正子。自暴自棄になっているウシロに正子が出した提案とは? おかしな2人の、奇妙でイケイケな祟り生活が始まる!
構成/大槻由実子
編集/坂口彩
作者プロフィール
蛭塚都
漫画家。コミックウォーカー(KADOKAWA)などで現在連載中の『ゴゴゴゴーゴーゴースト』『4LDK』が代表作。
Twitterアカウント:@hl_twn