彼女はデビュー以来を自分事のように見てきた、私たち世代のヒーローだから
——今回のプロジェクトはプロデューサーである坂本和隆さんの起案で動き出したそうですが、宇多田ヒカルさんの「First Love」と「初恋」を繋ぐ物語を作りたいと声をかけられたときはどう思いましたか?
寒竹ゆりさん(以下、寒竹):もう4年ぐらい前になりますが、話を聞いてすぐに「やりたい!」と思いました。宇多田ヒカルさんはデビューの瞬間から社会に強烈なインパクトを与えていましたし、当時、世の中がざわついた感覚を鮮明に覚えているんですよね。他のアーティストとは一線を画す特別な存在だったし、周囲にヒアリングしても、誰しも少なからず思い入れがあるんですよ。それこそ宇多田ヒカルさんの登場は“事件”だったわけで、彼女の楽曲をテーマにしたドラマを作ることができるなら、これほどやりがいのある企画はないなと。
——寒竹さんは“宇多田ヒカル世代”なので、なおさら思い入れが強かった?
寒竹:そうですね。やっぱり私たち世代にとって宇多田ヒカルさんってヒーローなんですよね。長嶋茂雄さんがヒーローの世代もいるだろうし、今の20代は大谷翔平選手かもしれませんが、その人と同年代であることが誇りに思えるような存在。宇多田さんが15歳でデビューした当時、学者みたいな人が歌詞を分析していたことを覚えているのですが、同い年の女の子が大人を感心させていることが衝撃でしたし、でも自分たちの方が彼女の歌詞を本質的に理解できている気もしていて。それからも、ずっと宇多田さんの動向が気になっていたし、活躍も進化も、紆余曲折も、ちょっと自分事のように見てきた感覚があります。安易に親近感を語れないほど凄い人ではありますが(笑)。
Comment