アート的でもある、スタイリッシュな時代劇の誕生に驚きました


――池波正太郎生誕100年、時代劇専門チャンネル開局25年、藤枝梅安シリーズが小説現代で掲載されてちょうど50年という節目の年に、【時代劇、新時代。】としてリニューアルされた超大作への出演ということで意気込みをお願いいたします。

豊川悦司さん(以下、豊川):意気込みと言っても、もう撮っちゃったので頑張りようがないのですが(笑)。でもかなり頑張った作品だと自負しております。【時代劇、新時代。】という冠もついており、池波先生の素晴らしい原作を映画のためにもう一度解体して新たにシナリオ化する、という作業がとてもうまくいったのだと思います。今回私は改めて池波先生の原作をすべて読ませていただきました。今読んでもまったく色褪せてなく、斬新でトリッキーで、ものすごく面白く読むことができました。

ⓒ「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

エグゼクティブ・プロデューサーの宮川朋之さん、監督の河毛俊作さんがどう料理するのかというところから始まったので、それがすごくうまくいっていると感じました。多分、どなたが観ても面白く感じる、とても深い印象を覚える作品になっていると思います。エンターテインメントなんですけど、とてもアート的な側面もありますし、映画でしか作れない映画ができたと思っています。

 

片岡愛之助さん(以下、愛之助):確かに撮り終わってしまっているので難しいのですが(笑)。全力でやらせていただきました。原作では彦次郎は(梅安よりも)年上なんですけれど、映画では年下という設定でどうですかというご提案をいただきました。恐縮なのですが、そういうことが可能なのであればぜひに、とお願いしました。梅安役が豊川さんと伺って、今までいろんな方が演じられてきましたが、身体も大柄で本当にピッタリだと思いました。原作からそのまま抜け出てきたようなイメージで。撮影に入って初めてお会いしたらもう【梅安さん】そのままでしたね。

河毛監督は昔からご一緒させていただいています。監督が撮影で、私が歌舞伎の舞台で京都にいるときなどは、一緒にお食事に行かせていただいたりもしていて、そういう意味でも嬉しくて。監督は「今まで観たことのない斬新な時代劇を撮る!」とおっしゃられて、「観たことのない時代劇ってどんなものだろう」と思っていたんです。出来上がった作品を観たら、自分が出演しているのに言うのもなんですが、本当に斬新で音楽もカッコよく、すごくスタイリッシュに仕上がっていて驚きました。

今日(記者会見当日)は二作目を拝見させていただき、やはり豊川さん……、そして出演されている皆さんがすごい。演技、キャラクターの濃さ。皆さん瞬間瞬間でパワーを発揮されているんだと思いました。あらゆる年代の方が楽しめる作品になっていますので、ぜひ幅広い世代の方に観ていただきたいです。