京都で仕事がしたいと思う理由。知らなかった新しい発見も


――この作品は京都で撮影されたということですけれども、京都で撮影して良かったなと思うこと、ロケ地とかスタッフの熟練さとかいろいろあると思うんですけど、あらためて京都で撮れて良かったなと思うことがあったら教えていただけますでしょうか。

豊川:一番は、京都の人たちが映画作りを応援してくれていることではないでしょうか。東京や関東とは比べものにならないくらい京都は街や人にとって映画作りがとても身近にあって、それに対してとてもウェルカムだし不必要な干渉もしてこない。だから、京都の映画人たち、東映、松竹と二つの撮影所がありますけれども、みんな伸び伸びと映画を作る環境を保っていられるというところが京都で映画を作る最大の魅力ですし、私たちが京都で仕事がしたいと思うところではないでしょうか。

ⓒ「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

愛之助:撮影所から車で少し走ると本当に素晴らしい景色が広がっていて、そういう環境で撮影できるというのはやはり京都の良さだと思います。私は毎年のように南座に出演していますが、劇場にいることがほとんどなので、京都という街を知っているようで意外と知らなかったことに気付きました。今回京都の街をゆっくり歩く時間もあり新しい発見もできて、ものすごく楽しかったですね。

 

クラシカルな時代劇の一端もしっかり残す


――新しい時代劇という“新しさ”に注目が集まっていますが、一方で時代劇ファンからすると昔と変わらない点というのも気になると思うんですね。おふたりが思う「これぞ時代劇、待ってました」という部分をぜひ教えていただけますでしょうか。

豊川:難しい質問ですね(笑)。これぞ時代劇……。多分、距離感じゃないですかね。映画に登場するキャラクターたち、ライフスタイル含めて、自分と他者との距離感みたいなものが現代とは圧倒的に違うと思うんですよね。その距離感の近さみたいなものが、時代劇のひとつの特徴であると思いますし、戦うにしても絶対に刀が届く距離でないと戦うこともできない。そういう意味では、飛び散った汗が自分に降りかかるみたいなそういう距離感で人々が生活をしているというところが時代劇の一番の特徴ではないかなと思います。それは今回の映画にもすごくあると思いますね。

愛之助:待ってました! と思うところは立ち廻りですかね。「さあ、やるぞっ」と気合いの入る場面になっています。みなさん殺陣がすごくお上手で、美しかったですね。それに感動いたしました。彦次郎は……派手な立ち廻りはなく吹き矢で応戦しています (笑)。