2.作家とライターのバトルにヒヤヒヤ
『嫌いなら呼ぶなよ』綿矢りさ

毒々しい装丁を見ただけで、面白くないわけがなかろうと期待が高まる『嫌いなら呼ぶなよ』綿矢りさ

妻の親友の新築祝いに来て、皆の前で不倫を暴かれ、吊し上げを喰らう男の話「嫌いなら呼ぶなよ」のほか、“いたたまれない状況”を描いた短編集です。

白眉は、雑誌のインタビュー取材での作家とライター、編集者の三つ巴のいざこざを描く「老(ロウ)は害(ガイ)で若(ジャク)も輩(ヤカラ)」。

 

43歳の女性フリーライターが書いた原稿を、インタビューされた37歳の女性作家が気に入らず、全面的に書き直したところ、ライターが激怒。両者一歩も引かずで、26歳の男性編集者はお手上げ状態。校了のデッドは刻一刻と迫ってきて……というお話です。

「芥川賞最年少作家の綿矢」って本人のことやん!? 実話!? と思わせつつ(でも多分絶対的にフィクションであることは読み進めるとわかるのですが)、作家さんや俳優さんのインタビュー記事を編集担当していた私には、ありえるありえるのリトル・マーメードすぎて、びっしょり脇汗かきながら読みました。