「こたつに入って寝正月」の危険な理由


編集:こたつに入ったり電気ひざかけなどを使用するときは、「脱水症状」と「低温やけど」に注意して、こまめにお水を飲んだりしたいと思います。自覚症状にも気をつけますね。

 

山田:そうですね。ただ、高齢だったり小さなお子さんですと、自覚症状を感じにくいこともあり、気がつかないうちに低温やけど状態になってしまう、ということもあります。ご家族に小さなお子さんや高齢の方がいる場合は、ぜひ声かけを心がけいただきたいです。

また、ここまではこたつの直接的な影響についてお話ししましたが、「こたつに入って寝正月」という状態も、やはり注意が必要です。

編集:どうしても運動不足にはなりますよね。「正月太り」という言葉もありますし……。

山田:そうですね。動かないで食べてばかりいれば、当然太ってしまうでしょう。ですが、実はそれだけではなく、こたつの中で同じ姿勢で長時間足を動かさないことで、「エコノミークラス症候群」になってしまうリスクもあるのです。

編集:たしかに、こたつの中も飛行機内と同じように、意識しないとずっと同じ姿勢のままかもしれません。

山田:長時間同じ姿勢でいることによって、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、いろいろな病気のリスクになり得るのです。

編集:暖かく心地がよいと、つい動きを最小限に抑えたくなります。でも、こまめに動くことは、とても大事なことなのですね。

山田:そうですね。繰り返しになりますが、冬のこたつは気持ち良いですし、あまり過剰にリスクを心配する必要はありませんが、長時間使用する際は、やはり時々足を動かしたり、少しこたつの外に出る、そして水分補給もぜひ心がけていただきたいです。また、例えば女性でピルを服用されているなどの場合には、血栓症のリスクを増加させることがわかっているので、そういった注意点により気をつけていただきたいと思います。

編集:私は電気ひざかけを使用し、座ったまま仕事をしている時間が長く、しかもピルも服用しているので(涙)。年末年始に限らず、しっかりと対策をしようと思いました。ありがとうございました!
 

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構成/新里百合子
 

 


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