「ベビーカー様」という心ない揶揄、エレベーター前の“ギスギス”

 

子育てに不寛容すぎると感じることは、他にもいくつかあります。
その一つが「ベビーカー様」などの揶揄に象徴される子連れバッシングです。

もちろん、ごく一部のマナーの悪い子連れへの正当な批判もあるかもしれません。しかし、多くは「(エレベーターや道を)譲ってもらって当たり前と思うのはどうかと思う」というもの。また、おしゃれなカフェや、通路が広くないお店などに来店する子連れに疑問を呈するものや、子どもがいるのにスマホをずっと見ているのはどうなのか、といったものも。

もはや定番といえる、「譲ってもらって当たり前と思うのはどうかと思う」に対して、筆者は「子連れに譲るのは当たり前」だときっぱり言いたいです。むしろ、“譲らなさすぎ”なんですよね。

 

子連れは申し訳なさそうに、ずっと謝り続けないといけないのか?

 

子連れでの外出って、想像の何倍も壮絶。オムツや着替え、哺乳瓶その他何種類ものグッズを入れたバッグにベビーカー。さらに一瞬でも目を離すとあっという間に見失うこともある子どもを連れて。1歳を過ぎたら歩き始めますが、子どもはすぐ疲れてしまうので、3歳を過ぎてもベビーカーは必要だったりします。もう外出するだけで超重労働なわけです。

にもかかわらず、エレベーターには、別にエスカレーターや階段でも問題ない人たち(これも一見判断は難しいという問題はありますが)が次から次に乗って、ベビーカーの人がなかなか乗れない、という声も。

もちろん、人の善意を当たり前だと思わず、感謝するのが人として大切、感謝を行動で示すことでみんなが気持ちよくすごせる、みたいなことはわかるんです。わかるんですけど、それ、子連れに言います?! っていうのが正直なところ。

大変な人に譲るのなんて当たり前。松葉杖をついた人にも同じ事を言うのでしょうか。子連れの外出の大変さがわかったら、譲ってもらって当たり前と思うな、とか会釈くらいはしろ、なんて絶対言えないと思います。

もちろん常に頭を下げ、「ありがとうございます」「すみません」と言っている子連れの方もいらっしゃいます。でもそれこそ、そう振る舞うのが当たり前だと思う、私たちの方こそいかがなものかと思うのです。そして申し訳なさそうに、ずっと謝り続けないといけない、そうさせている空気感こそが異常ではないでしょうか。