パリ在住のミモレブロガーの大熊洋子さんが購入した3足のサンダルを紹介します。

 

毎年、春の訪れの頃に、思わず「キターっ!」と叫んでしまいそうになる嬉しいお便りが今年も届いた。「ミッシェルヴィヴィアン」のプライベートセール。パリ11区のアトリエで、その年のコレクションが破格値で最終処分になる。

 

私のコーデでは既にお馴染みのこのブランドは、フランスでは最も尊敬されているシューズデザイナーの一人。履きやすさにおける実用性と、フェミニンな美しいフォルムを極限まで追求したデザイン性が、ブランド創立の1998年以来、世界中の女性を虜にしている。

過去のスナップを発見! クロエのドレスに足元はミッシェルヴィヴィアンのパンプス。サンシュルピス寺院にて。

問題は値段だ。定価だと1足あたり700€近い。SATCのキャリーのように、「コラムを1本書いたら、ご褒美に靴を買うわね!」などという生活をしていない私には、なかなか手が出ない。プライベートセールの招待状を貰った時にはかなり嬉しかった。

 

アトリエのショールームに放出されたストックは、デザイン毎、サイズ順に分かり易く並べられ、一目瞭然である。ここんちのセールの良さは何と言っても明朗会計! ヒール付きが200€、フラットシューズは150€の2種類の設定しかない。こんなサッパリとした潔い部分にも、会社のフィロゾフィーを感じる。

私のポワンチュール(注:仏語で足のサイズの事)は36.5~37、プライベートセールまで残らないことが多いのだが、今回ラッキーにも手に入れた3足をココでご紹介!

夏に敢えてスエードを取り入れるのが好き! ここ最近の猛暑にウエアでは難しいから、小物で楽しみたい。太めの7.5センチヒールが王道。しっかりと足をホールドする何本ものベルトが編みあがっている安定のデザイン。お色はマスタード。サイズは36.5。
繊細なクロシェ編みが印象的なフラットサンダル。ここんちの定番スタイルで、毎年少しずつ細部のデザインを変えて発表されている。ゴールドかブラウンで迷ったけれど、スタッフさんのアドバイスでこちらに決定。こういったセール会場でも、正規ブティックで受ける接客と変わらないおもてなしが嬉しい。プロフェッショナリズムを感じるし、何しろスタッフさん達が仕事を愛し、心から楽しんでいるのが分かる。サイズは37。
スエードのネイビーとチャコールのコンビに金具のゴールド。ブラックのロゴで全体が引き締まる。もうこれだけでアートオブジェの様に美しく、いつまでも眺めていられる。だらしなく脱いでも美しい佇まいのヒールは、夜のデートにもってこいだな、などとみだらな妄想まで浮かんでくる。サイズは37。
 

デザインによってサイズも若干変わってくるのがシューズ選びの興味深いところ。あーでもない、こーでもないと、何度も何度も履き替えて、ひとまわり歩いてみてはため息をつく。終いにはお客さん同士が目を合わせて苦笑い。ここからおしゃべりに花が咲くのがフランス流ね。

「それ、あなたにとても似合っているわね! 華奢な足で良いわねぇ。私は大足の40だから、親をうらむわ。私のポワンチュールはセールでは大抵みつからない」

あはは、みんな同じことを思っているんだね。そう、ここは正真正銘の最終セール。お宝が見つかるほうが珍しいのだから!

午後一番から乗り込んで、悩ましくも良いひと時を過ごしアトリエを出た時には、外はもう夕暮れ時になっていた。


構成/幸山梨奈
 

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