ちなみにこのドラマは、『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)の脚本を手掛けた金子ありささんによる完全オリジナルストーリー。数々の名作を世に送り出してきた金子さんですが、私はとくに『着飾る恋には理由があって』(TBS系)が好き。同作を観た時に新しいなと感じたのが、ドラマの鍵として“デジタルデトックス”が描かれていたところです。

ヒロインの真柴くるみ(川口春奈)は、10万人のフォロワーを持つインフルエンサーで、「携帯がないと、落ち着かなくてソワソワしちゃって、いてもたってもいられない」と言うイマドキの女の子。そんな真柴と恋をすることになるミニマリストの藤野駿(横浜流星)は、まったく携帯に依存していないから、家に置きっぱなしで外出しても全然平気。私はどちらかというと真柴タイプなので、駿の「携帯のなかに答えはないね」という台詞が刺さったんですよね。

 

2007年に放送された『牛に願いを Love & Farm』(カンテレ・フジテレビ系)も、私の価値観を大きく変えた作品のひとつです。同作は、関東農業大学に在籍する学生たちが、北海道の実学研修に参加して、動物や自然との触れ合いを描いていく物語。放送されていた当時はまだ幼かったのですが、牧場の牛が出荷されるシーンはいまだに印象に残っており、思い出すと胸が痛くなります。このドラマを通して、食べ物へのありがたさを再確認しました。

このように、金子ありささん脚本作品は、私たちがふだん当たり前にしていた行動に“ちょっと待って”とストップをかけてくれる。そして、じっくりと向き合う機会を与えてくれるんです。きっと、『ペンディングトレイン』も、そんな作品になっていくんだろうなと思います。水も食料もなくなってしまったなかで、人は誰かに優しさを配ることはできるのか? 現状はまだ殺伐としているけれど、最終的には心温まる作品になっているはずです。

 

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