誰の人生にも「物語」があります。


人は、成仏できない物語があると辛い気持ちになり、前向きな物語を描けないと落ち込んだりモヤモヤしたりします。


この連載では、心理学者でキャリアコンサルティング技能士の杉山崇先生が、「物語」という名のライフキャリアを整える方法を皆さんにお伝えしていきます。

 

突然ですが、管理職になる、昇進する……ということに、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 実は、近年は自分自身が管理職になる、昇進する、ということに良いイメージを持たない方が増えている傾向にあります。
管理職、昇進……と言えば組織からの高い評価の証です。勤労者にとっては一つの花道のはずです。管理職や昇進のチャンスを得て、「やったー!!」とお喜びの方もたくさんいらっしゃいます。

ですが、様々なデータが意外と良いイメージを持たない方が多いことを裏付けている状況です。データが物語ることですので、誰かの印象や主観ではないようです。

 
 
 

資料出所 (独)労働政策研究・研修機構「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(正社員調査票)」 (2018年)の個票を厚生労働省労働政策担当参事官室にて独自集計
厚生労働省 第2-(3)-27図 役職についていない職員等における管理職への昇進希望等についてより引用

カウンセリングの実情としても「管理職を打診されたのですが、なんだか気が重くて……」とご相談をなさる方が少なからずおいでになります。その多くが、管理職、または昇進というキャリアの展開で「責任が重くなる」、「忙しくなる」、という物語が自動的に浮かんで来るようです。
その結果、管理職、昇進という物語が苦しいもののように感じられてしまっているみたいです。うーん、こう考えると、なんだか勤労者の花道であるはずの管理職になることや昇進が喜べないものになってしまいますね。

 



管理職、昇進への価値観は、みんなちがってみんないい!!
 

ただ、現代社会はダイバーシティ、多様性の時代です。価値観や感性はみんな違って、みんな良いのです。仮にあなたが管理職になる、昇進するという物語を喜べない勤労者だとしたら、組織が勤労者のあなたに歩ませたい物語や期待している感性とあなたの感性や望んでいる物語がズレているということなのです。

組織とのズレは勤労者としては不幸なことです。私はこのような不幸をなくして、みなさまに仕事を通してもっと幸せになっていただきたいと願うキャリア心理学者なので、仕事でお悩みのみなさまの力になりたくなります。

そこで今回は管理職になる、昇進する、という物語についてご一緒に考えてみたいと思います。まずは、ありがちな管理職、昇進するという物語が向いているタイプと不向きなタイプをご紹介しましょう。
不向きなタイプと思われる方は、友好的にお断りするときの参考にしてください。向いていると思われるタイプの方は、管理職、昇進という物語の隠された魅力にも注目していただけると嬉しいです。

次ページ▶︎ 管理職、昇進することに向いている人とそうでない人の違いは?

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