登録者数36万人! 人気のYouTubeチャンネルを主宰するパリ在住エッセイスト・井筒麻三子さんが、待望の初書籍『GORO GORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』を4月に刊行。今回はこの新刊から、「和食への執着がすごい」麻三子さんの海外サバイバル術を紹介します!

 
『GOROGORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』(講談社) 著/井筒麻三子  写真/Yas

海外に住んでいると、食生活も現地スタイルに馴染んでいるものと思われるかもしれません。実際、毎日フランス人と同じ食事で平気という人もいますし、人それぞれだと思いますが、私は断然和食派。以前は「ごはん党だから、海外に長く住むのは無理だな」と思っていた時期もあるほどです。

最近では、パリで売っているもので代用し和食を作ることが多くなりました。それでも日本に帰るとやっぱりあれもこれも欲しくなり、毎回このような大荷物になって帰ります……。

そんな私なので、パリ生活を始めたばかりの頃は誰かが仕事や旅行で来るたびに日本食材の持ち込みをお願いしていました。あるとき、仲のいい友人が出張でパリに来ることに。「ビジネスクラスだし、重いものでも持っていくよ」と言うので、じゃあ遠慮なくとお米をお願いしたところ、なんと10kgの米袋を持ってきてくれたのです。タクシーの運転手さんに「このスーツケースめちゃくちゃ重いよ」と文句を言われるほどの荷物を持ってきてくれた彼女には、感謝してもしきれません。

 

そうは言っても、さすがにそれで日々の食すべてを賄うのは不可能。そこで在仏日本人の知り合いに尋ねたり、自分で検索するうちに、実はこの街では、和食を作るための素材が意外と手軽に入ることがわかりました。まず和食材を扱うお店ですが、日本人街と呼ばれるオペラ座周辺を筆頭に、パリ市内のあちこちにあります。チャイナタウンの大手スーパーにも日本食材コーナーが設置されていますし、最近では日本ブームもあってか、ちょっと小洒落た八百屋さんやマルシェで、柚子や水菜といった生鮮食品を見かけることも。
ただ日本食材は手に入っても割高の場合が多いので、自分で作れそうなものの場合は、段々と自家製にトライするようになりました。

近所のマルシェで二度見した「宮川」なるみかん。思わず買って試してみましたが、確かに日本のみかんに近い感じの味でした!

パリに来て最初に作ってみたのは納豆です。日本で毎日食べていたのに、ここでは冷凍品ばかりで値段も日本の倍以上。じゃあ自分で作ろう! と思ったものの、なぜかどこにも大豆が売っていません。仕方がなく、レンズ豆や白インゲン豆など手当たり次第の豆で試し、ひよこ豆であればほっくりした納豆が作れるという結論にたどり着きました。


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【画像】工夫しながらパリでも和食作り!
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