6週間の入院と追加治療を提案されて……


つまり、リンパ節や子宮頸部以外の組織への広がりはなかったけれど、その前段階である、血管やリンパ管への浸潤は見られた。現在がんは全て体から取り除けているという認識だけれど、今後再発のリスクがないわけではない……ということ。

そして提案されたのが、抗がん剤治療と放射線治療です。退院後1ヶ月後以内には治療を開始し、今度は約6週間の入院生活が待っている、と告げられた時は耳を疑いました。

しかしそもそも、手術の説明を受けたときに「病理検査の結果によっては、抗がん剤や放射線治療を追加で行う可能性もある」とハッキリ告げられていたことを思い出しました。それなのにすっかり忘れて、手術をしたからこれでおしまいだと思い込んでいたなんて、おめでたいにも程がある……。

その後は自分の病室に戻って、泣きながら荷造りをしました。ついさっきまでは「病院生活とも、これでお別れかあ……」なんて感傷に浸っていましたが、そんな気分もあっという間に吹き飛びました。次は6週間もここで過ごすことになるのですから。

“がん”はやっぱり甘くない。子宮全摘後、転移はないのに「抗がん剤と放射線治療」を勧められた理由【子宮頸がん体験記】_img2
 

ちなみに検査結果を聞いた際に、手術で取った組織の写真を見せてもらいました。

大きくなった腫瘍が子宮の入口を完全に塞いでいて、そのサイズは卵巣よりもわずかに大きく、衝撃的な見た目をしていました。手術はとても辛かったけれど、こんな恐ろしいものを体から取り除くことができて、本当によかった。心からそう思いました。

 

「この治療は、本当に必要なのか……?」


抗がん剤と放射線治療をやる、と言われて、手術の時にはそこまで実感しなかったのですが、「ああ、自分はがんなんだ」ということを改めて突きつけられたような気分でした。

抗がん剤も放射線もできればやりたくなかったし、どれくらい辛くて苦しいものなのか想像もできないけれど、漠然とした不安と恐怖があります。家族からは「本当に必要な治療なのかどうか」をしつこく尋ねられ、セカンドオピニオンを勧められたりもしました。

追加の治療をやっても再発する人はいるらしい、という話を聞いたらますます迷いが生まれましたが、主治医の話を何度か聞いて、「今のうちにやれることは全部やってから、普通の生活に戻ろう」と決意しました。

がんになってから、正解のない選択肢を突きつけられることが多くなったように思います。自分の力で情報を集め、自分の頭で考え、選択する決断力が必要なのだと感じる場面に、幾度も直面しました。

病気になって以来、確実に心は鍛えられた気がしています。

“がん”はやっぱり甘くない。子宮全摘後、転移はないのに「抗がん剤と放射線治療」を勧められた理由【子宮頸がん体験記】_img3
 

それから再入院までの期間は、慌ただしく過ぎていきました。仕事を前倒しで片付けて、2月から3月の間だったので確定申告を終わらせて、会いたい人たちに会って。

こうしてあっというまに過ぎた1ヶ月間。私のがんとの闘いの、第二ステージが幕を開けようとしていました。
 

これで終わりじゃなかったの!?がんとの闘いはまだまだ続く……
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イラスト/小澤サチエ
構成/山本理沙

“がん”はやっぱり甘くない。子宮全摘後、転移はないのに「抗がん剤と放射線治療」を勧められた理由【子宮頸がん体験記】_img4
 

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