今夏、ともさかりえさんが17年ぶりにドラマの主演を務めると話題の女性サウナ漫画『湯遊ワンダーランド』。その作者・まんきつさんの最新作が『犬々ワンダーランド』です。『湯遊〜』ではサウナでしたが、今回は犬への愛! 犬だって生き物だもの、性格はいろいろ。保護犬だった雑種犬と、ペットショップにいた柴犬、という対照的なワンコ二匹との暮らしを描く実録漫画です。
対照的な二匹のワンコを飼うまんきつさん
まんきつさんが飼っているのは、元野良で保護犬だった雑種犬・ポテトちゃん(12歳・メス)と、ペットショップにいた柴犬・銀ちゃん(3歳・オス)。
育った境遇だけでなく、年齢も性別も対照的。でも、一番違うのは性格でした。
ポテちゃんこと、ポテトちゃんは人が苦手で臆病なのに対し、銀ちゃんは人懐っこく誰にでも近づくのです。
社交スキルの高さゆえ、銀ちゃんは近所で人気者。友好的で触らせてくれるワンコというのは、誰でも嬉しいものです。子どもでいうならニコニコと笑顔がかわいくって、大人にも臆せず無邪気に話してくれるタイプ。
でもね、ポテちゃんの人面犬みたいな表情に心をつかまれてしまうんですよ⋯⋯!
これは、人見知りでお母さんの後ろにもじもじ隠れちゃう子に「⋯⋯か、かわいい」とキュンとする瞬間と同じ。ポテちゃんと銀ちゃんは、まるで手がかかる子とかからない子のよう。人見知りするという人間チックなかわいさと、無邪気な犬の正統派なかわいさ。対照的だからこそそれぞれのかわいさが感じられるんです。
こんな感じで二匹のかわいさを愛でる日常を描いているのですがそれだけではありません。
ポテちゃんは保護犬でした。
保護活動の実態を取材するまんきつさん
ポテちゃんを通して、保護活動の実態を知るまんきつさん。二匹を飼う前、まんきつさんの家には先住猫がいました。猫と共存できるおとなしい犬がほしい、と保健所の人に伝えて連れてこられたのがポテトちゃんでした。
臆病で、ご飯を食べないこともあるので心配したまんきつさんは、保護活動をしている荻原さんの話を聞きに行きます。
「人間って嘘をつくでしょ」「私たちが助けているのは氷山の一角」だと言う荻原さんは、「もし魔法が使えるなら」何をしたいのか⋯⋯。動物を本当の意味で愛しているからこそ出てくるその重さに、まんきつさんと共に言葉を失うのです。
犬の飼い主は社交スキルが求められる問題
犬との生活で満たされてしまい、人とのコミュニケーションを取らなくなってきたというまんきつさん。人見知りなポテちゃんに「無理するなよ」とシンクロしているような気も。でも、犬の散歩をしていると近所の人たちが話しかけてくる現実!
犬を連れている人って話しかけたくなりますよね。よくお年寄りが赤ちゃん連れに声をかけるのは、赤子の生命エネルギーを無意識でわけてもらおうとしているという説がありますが、それは犬にも当てはまるのかも。犬と、犬との生活で満たされている飼い主からエネルギーをもらいたい⋯⋯! と向こうから話しかけてきちゃうのだから仕方ないですね。犬の飼い主は幸せなオーラが周りに溢れ出ているから、人を引き寄せてしまうのかもしれませんね(?)。
あ、引き寄せといえば、まんきつさんの作品にはパンチの効いた個性強めパーソンが出現するのがお約束。ワンコエピソードがメインの本作でも、12話の「右側じじい」や、15話の「霊犬」で霊が見えるという整体院の先生との話が挟まってくるので、まんきつさんファンなら「きた〜〜個性強めパーソンを引き寄せる法則!!」とワクワクしちゃいます。
前作のサウナと同じで、人間を癒やして元気にしてくれる効果がある犬の偉大さ=ワンダーを感じる本作。
まんきつさんに等しく愛されている二匹の実物を一度見たいなあ、という気持ちが高まったところで、最後のページに実物のお写真が載っているんですよ。
本編では人面犬風味に描かれてるポテちゃんも、銀ちゃんもとってもかわいいので是非ごらんあれ。
『犬々ワンダーランド』第1〜3話を試し読み!
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<作品紹介>
『犬々ワンダーランド』
まんきつ (著)
保護犬だった雑種のポテト。ペットショップにいた黒柴の銀。
家ではおしっこもうんちを絶対しないポテト。散歩では道の真ん中に座り込んで帰宅を拒む銀。かたや臆病で慎重派、かたや大胆で怖いもの知らず。
そんな真逆の二匹との生活は、ちょっと大変で、とても楽しい――
作者プロフィール
まんきつ
漫画家。2012年にブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴びる。著書に『アル中ワンダーランド』(全1巻・扶桑社)、『ハルモヤさん』(全3巻・新潮社)、『湯遊ワンダーランド』(全3巻・扶桑社)などがある。現在、週刊SPA!で「犬々ワンダーランド」を、ananwebで「そうです、私が美容バカです。」を連載中。
構成/大槻由実子
編集/坂口彩
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