介護をするにはお金がかかる──。これはよく言われることですが、介護を受ける方やその家族がすべての費用を捻出しているわけではありません。40歳以上の国民全員が介護保険料を納め、そのおかげで介護が必要な人に費用が給付されたりサービスが提供されているのです。介護度が高い人はより多くの介護サービスを受けられますが、その基準となる「要介護度認定」について、今回の相談者・敦子さんは納得がいっていない様子です。話を聞いてみましょう。

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要支援1から要介護1への変更を試みるも失敗!


78歳になる母は、横浜郊外にある実家で一人暮らしをしています。母は若い頃から暇さえあれば趣味の社交ダンスに勤しみ、姿勢もビシッとした人でしたが、長年の無理がたたったのか70代になってから膝の痛みを訴えるようになりました。最終的に変形性膝関節症と診断され、医師の勧めもあって介護認定を受けたのです。

ただし介護認定と言っても7段階あるうちの一番下。日常生活に特に支障をきたすこともなく、母自身も「こんな程度で要支援1なんて大袈裟ね」と言うほどのものでした。

ですが最近、悠長に構えている場合ではなくなってしまったのです。2年前に父を亡くしてから、一人暮らしのせいか母は少しずつ独り言が増え、ちぐはぐな行動も目につくようになってきました。最近はその度合いが増えてきたので、もしかしたら……と不安に思って近くの脳外科を受診したところ、アルツハイマー型認知症と診断されてしまったのです。

これまでは予防という名目で週に1回デイサービスに通っていた母。ですが認知症となると話は変わってきます。膝の痛みもある状態で転倒リスクも高いので、いよいよ介護について考えなくてはと思うようになりました。

そこで、ひとまず受けられる介護サービスの幅を広げるため、要支援1からもう少し重い介護度への区分変更を期待して再申請しました。母には認知症の症状も出てきたので、要支援2を飛び越えて要介護1になるだろうと踏んでいましたが、結果はなんと要支援2。支給される介護費用の額は倍になりましたが、内容的にはヘルパーさんの利用回数が週2回から3回に、週1~2回だったデイサービスは2回以上の利用が認められる、というわずかな変化でした。

要介護1になれば、さらに利用できるサービスの量を増やすことができます。私も仕事や家庭のことがあるのでもう少し介護サービスに頼りたいところですが、再度、区分変更の申請はできるのでしょうか。
 

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