年を重ねるにつれて、自分に似合う服やスタイルが若い頃よりは分かってきた反面、長年の経験から「〜しなければいけない」というおしゃれに対する思い込みや固定概念に、無意識のうちに縛られてしまっている人も実は多いかもしれません。
知らないうちに自分で自分を縛っているおしゃれの呪縛から自由になって、もっと軽やかに日々のおしゃれを楽しめたなら……!

そんな頭でっかちになりがちな大人のおしゃれに対して、いつもちょっとした発想の転換方法を教えてくれるのが、スタイリスト佐藤佳菜子さんです。

第4回目はバッグとの付き合い方について伺いました。
 

がんばって買い集めたブランドバッグがなんだか似合わない……
そんなときは少し寝かせてみることをおすすめします


一生モノ、清水買い……。そんなワードが毎月誌面を賑わせていたファッション誌を読んで育った私は30代の頃、一生懸命働いてはせっせと“一生モノ”と言われるバッグを買い集めていました。

もちろん今見てもどのバッグもすごく素敵で、文字通り、おばあちゃんになってからもずっと持ち続けたいと思うんです。ただ40代になってから、どこのブランドか一目で分かるようなバッグをあまり手に取らなくなっている自分に気がついて……。一生モノと思って買ったせいで、なんとなくずっと使い続けなければいけない気がしていましたが、思い切ってそういった高価なバッグをいったん寝かせてみることにしました。そう、一生モノには冬眠期がつきものなんだと思います。

清水買いしたブランドバッグの代わりによく持つようになったのが、どこのブランドのものか一見して分からないような、つるんとしたバッグ。私はこれを「カオナシバッグ」と呼んでいます(笑)。今回は私が気に入っていて、撮影やプライベートでよく使っている「カオナシバッグ」をいくつかご紹介させていただきますね。


 佐藤さん一押しのカオナシバッグ① 
ただのつるんとしたデザインが上手な
パリ発のブランド「フェイン」

 
リボンのような華奢なストラップがフェミニンな印象に。開口部分はマグネット付きで中身が見えない仕様に。バッグ¥108900/フェイン(インターナショナルギャラリー ビームス) ブラウス/アンクレイヴ パンツ/トゥジュー ネックレス/アフェクト ブレスレット/ダミアーニ 靴/ジルサンダー


KANAKO’s Comment 

どこのブランドか一目で分かるようなバッグを持つ機会が減った理由を自分なりに分析してみると、40代になった自分は、存在感や体型含めてもう十分個性が前に出ているので、若い頃のようにバッグやジュエリーなどで迫力や個性を出す必要がなくなってきたのかもしれません。それから貫禄のあるバッグやジュエリーよりも、モダンなデザインのものを持ったほうが案外老けて見えないような気もしています。

フェインはパリ発の二人の女性によるバッグブランドで、ただのつるんとした感じのデザインがすごく上手なブランドなんです。今回持ったカラーはインターナショナルギャラリー ビームスの別注カラーのものですが、ブラックやオフホワイトなど、他にも使いやすい色が揃っています。ミニマルなデザインがすごく今っぽいので、持つだけで着こなし全体がモダンな印象になると思います!

 

 佐藤さん一押しのカオナシバッグ② 
シンプルなのにどこか印象的
モダン見えバッグが豊富な「ヴァジック」

 
控えめなデザインでカジュアルな日にもきれいめな日にも持ちやすい。バッグ¥39600/ヴァジック(ヴァジック ジャパン) カットソー/ZARA スカート/エウゼーン サングラス/レイバン ブレスレット/ダミアーニ 靴/ウーマン バイ コモン プロジェクト


KANAKO’s Comment 

ヴァジックには人気の巾着型のBONDバッグをはじめ、いろんなデザインのバッグが揃っていますが、私が最近おすすめしたいのは、今回持ったような表面がつるんとしたデザインのもの。今回は黒を持ちましたが、着こなしのアクセントになるようなイエローやレッドのような鮮やかなビタミンカラーも今の季節にぴったりですよね。


 佐藤さん一押しのカオナシバッグ③ 
スクエア形が何と合わせてもハマる
モードに見せてくれる「メゾン カナウ」

同じデザインでサイズ違い、素材違いが揃うのも嬉しいポイント。(左から時計回りに)バッグ¥68200、¥71500、¥79200/メゾン カナウ(ヤマニ)


KANAKO’s Comment 

メゾン カナウのバッグはシンプルなスクエア型がどんな服にも合わせやすいので、私の日々のコーディネートでも登場回数の多いバッグ。例えばフリルの付いたような甘い服を着ても、このバッグを持つだけで不思議とモード寄りに見せてくれて、行き過ぎたテイストを中和させるバッグとしていつも頼れる存在です。

今回は一見どこのブランドか分からない「カオナシバッグ」をいくつかご紹介させていただきましたが、もちろん一生モノの高価なバッグはもう使えない、というわけではないんです。しばらく寝かせても、また新鮮に感じられる日が必ず来るのが一生モノバッグのすごいところ。冬眠期を経て、貫禄のあるバッグを新たな気持ちで持てる日を今から心待ちにしています!


※掲載のアイテムで価格が入っていないものは本人私物です。

〈お問い合わせ先〉
インターナショナルギャラリー ビームス tel. 03-3470-3948
ヴァジック ジャパン tel. 03-6447-0357
ヤマニ tel. 03-5821-5044

 

【写真】スタイリスト佐藤佳菜子さん2023夏の私服コーデを見る
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撮影/水野美隆
スタイリング・出演/佐藤佳菜子
ヘア&メイク/桑野泰成(ilumini.)
構成・文/堂坂由香
 

 

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