雅子皇后、連日の色めく白のスーツに私たちが見たものとは?

インドネシア訪問へ向けて天皇とともにご出発。2023年6月。写真:毎日新聞社/アフロ
在留邦人らと面会する天皇、皇后両陛下。写真:毎日新聞社/アフロ
インドネシア訪問全日程を終えてご帰国。写真:毎日新聞社/アフロ

少なくともドレスの白は、“花嫁の色”としての強烈な印象があるから、大人は気恥ずかしい、後ろめたい、そう思うのでしょう。確かに、花嫁はある種の“純潔”の象徴だからこそ、白以外考えられないけれど、この白はまだ何にでも染まるというキャンバスの白。でも大人の白は、額縁の中の絵を際立たせるマットの白……。

 

十分にキャリアを積み、中身の詰まった濃密な魅力を備えているから、周りの白にくっきり際立たたされ、見事に存在感を浮き上がらせるのです。

しかも、白はあくまで浄化の色。重ねてきた年齢をもそっくり涼やかで快活で、颯爽としたものに変えるから、白を着る大人は皆なんだか凛々しく見えるのです。

インドネシアを公式訪問した時の雅子皇后の装いにも、目を見張りました。連日、白のスーツ? と思いきや、よく見ると白をベースに微かにパステルを帯びた、日々異なるニュアンスの白系スーツを纏っていたからです。真っ白だと意味を持ってしまうし、帽子までとなると大げさな印象を与えてしまうという判断があったのかもしれません。

ただ、じつに微妙な色めく白の美しさはまさに格別。優しくて上品で、とても効果的な演出だったと言えます。それでも全身“白の装い”が持つインパクトと涼やかさ、颯爽感、凛々しさはそのままに伝わってきて、白が1番似合う年代の美しさを、象徴的に伝えてくれていました。