何が正義か、夫婦とはいえ違うもの


さて、取材をさせていただいたのは12月の上旬でしたが、この時期は中学受験を控えたご家庭にとって「魔の時期」です。首都圏の受験は1月の地方・埼玉・千葉を皮切りに、2月上旬に東京・神奈川でクライマックスを迎えます。

その直前期だけに、「こんなにお金と時間をかけて、本当にこの学校でよかったのか」「もっと志望校のランクを下げれば合格できるのでは」「もう間に合わない……中学受験などしなければよかった」など、どれだけうまくいっているご家庭でも悩みは尽きないと聞きます。

それまで仕事も自分の楽しみも犠牲にして息子さんに伴走してきた由梨さん。しかし学校で問題行動を起こすばかりか、壮馬くんの最後の志望校合格判定模試が合格率20%になってしまったことで、博己さんに壮絶に当たり散らしたというのです。

「妻は最後の頼みの綱とばかりにネットで個別指導塾を探し出し、塾がない日は1日4コマも授業を入れ始めました。先月の塾代は、大手塾が10万円弱、加えてその個別がなんと40万円に上ったんです。

何が起こったと思いますか? クレジットカードが止められたんです。通常は僕の給与口座から引き落としになるのですが、そこに年始はあったはずの200万円がすっからかんになっていました。給与が毎月入るんですよ? それなのに残高ゼロになって、カードが止まった。

 

『来月は出願が始まって、入学金ももしかして3校捨てなきゃならないかもしれない。トータルで200万円は準備をしてね。合格するためだもの、このために頑張ってきたんだもの。最後にはした金をケチらないで』って。

おいおい、君の年収150万だよね? と、うっかり口にしてしまいました。もっと身の丈を考えろって」