人生を良くするために必要な「他者信頼感」を育むもの

 

私は長年教壇に立って数多くの親子を見てきましたが、その経験からも親子関係の大切さを強調したいと思います。親子関係は子どもにとって一番最初の人間関係であり、そこで良い関係を築くことができると「人は信頼していいんだ」という認識を持つことができます。それによって、他者一般に対する信頼感、つまり他者信頼感を持つことができるようになります。これがある子は、一生涯にわたって良好な人間関係を築くことができます。逆に、親子関係が悪いと他者不信感を持ってしまいます。これは言い換えると人間不信であり、良好な人間関係を築けなくなる可能性があります。

また、親子関係が良い子は、よく褒められて自己肯定感が育っています。ですから、勉強や運動やイベントなどでも「面白そう。やってみたい。自分は頑張れる。できる」と感じることができ、積極的なチャレンジが可能になります。また何かで挫折したり失敗したりしても立ち直ることができます。

 


学力より優先するべきは「親子関係」

このように、親子関係を良くすることはとても大事なのですが、肝心の親たちの関心は別のところにあることが多いようです。子育てに邁進している多くの親たちの関心は、主に次の3つです。

① 子どもの学力を上げたい。もっと勉強ができるようになってほしい
② しっかりしつけをして子どもが自立できるようにしたい
③ 良い学校に行ってほしい。良い仕事に就いてほしい。勝ち組になってほしい

親たちは、無意識のうちにこの3つの願いを持っています。中には、これらのことを達成するためには多少親子関係が悪くなっても仕方がないと思っている人すらいるようです。しかしながら私はこの3つよりも、もっともっと親子関係を良くすることを大切にしてほしいと思います。

親子関係を良くするには、子どもが親の愛情を実感していることが大切です。「自分は親に大切にされている。愛されている」と感じることができれば「お父さんやお母さんは話を聞いてくれる。自分のことを分かってくれるし受け入れてくれる」と感じ「自分もお父さんやお母さんが大好き」と思えるようになります。

子どもの人生を良くする最大の鍵は「親子関係」です。どうか皆さんも、お子さんの幸せを心から願うのであれば、何よりも良好な親子関係を築くことを優先してもらいたいと思います。