『美と殺戮のすべて』

『美と殺戮のすべて』 3月29日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほかロードショー 配給:クロックワークス © 2022 PARTICIPANT FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

アヘンと同じオピオイド系の鎮痛薬で強い依存性を持つにも関わらず、「常習性がなく安全」と宣伝され、爆発的に普及した「オキシコンチン」。その発売元である製薬会社の一族サックラー家は、悪質な販売方法で50万人もの死者を出し、貪ったその暴利を世界的な美術館に寄付し、「慈善家」のように振る舞っています。

 


映画は、自身もその依存症のサバイバーであり、サックラー家に対する抗議活動を展開する世界的写真家ナン・ゴールディンによる抗議活動を追い、なぜ彼女がそこまでできるのか、その心にあるものを探して、彼女の人生を紐解いてゆきます。自由な精神ゆえに自死した姉の存在、彼女を救ったLGBTQのコミュニティ、セックスとドラッグへの依存、暴力、権威主義的な男たちが支配する美術界……そこには、あらゆる隠蔽、あらゆる偏見にたいする不屈のプロテストが見て取れます。

『美と殺戮のすべて』 3月29日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほかロードショー 配給:クロックワークス © 2022 PARTICIPANT FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ゴールディンの活動は必ずしも「フェミニスト」という言葉ではくくることはできませんが、都合の悪いものを「なかったこと」にしようとする権力に「NO」といい続ける姿勢には、フェミニズムに共通する方向性を見いだせるように思います。権力に一歩も引かないその姿が、何しろかっこよすぎ!

作品情報)
『美と殺戮のすべて』
3月29日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほかロードショー
監督・製作:ローラ・ポイトラス
出演・写真&スライドショー・製作:ナン・ゴールディン
2022年/アメリカ/英語/121分/16:9/5.1ch/字幕翻訳:北村広子/原題:ALL THE BEAUTY AND THE BLOODSHED/R15+
配給:クロックワークス
公式X:@ATBATB_jp
© 2022 PARTICIPANT FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 

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