頑張る妻の足を引っ張る夫

自分自身の力をつけること、自立を決意した春奈さんですが、キャリアも経済力もなく、子育てをしながら動ける範囲も限られている。できることを考えた結果、昔のモデル経験からとあるミスコンに挑戦されました。

「とにかく家庭の外にいったん出たかった。もしミスコンで入賞すれば何か次の道が見つかるかもしれない、そう信じてトレーニングや食事制限でボディメイクに取り組んだ結果、優勝できたのは大きな自信になりました。

実際にミスコンがきっかけで友達も増え、人脈も広がり、仕事の相談をできる人も増え……でもその間夫は、ずっと私の邪魔をしていました。トレーニング中にぶつかってきたり、ヨガマットを思いっきり引っ張ったりだとか、カロリーを気にした食事に対して『気持ち悪い女だな』などといちいち蔑むような発言をしたり……まさにいじめという感じの行動をし続け、失望しきりました」

家庭に篭っている間は、どんなに酷いことをされても夫への希望や期待が残っていた春奈さん。しかしご自身が前向きに行動を起こすようになると、夫への見方も冷静になり、気持ちが冷めていったと言います。

ちなみに幸いというべきか、夫は育児はしないものの娘さんのことは溺愛しており、彼女の前ではいじめ行為はほとんど起きなかったそうです。

 

「娘はパパに懐いていたので、私が自立するまでは耐えることにしました。でも何かあったときのために、夫のいじめ行為はこの頃からすべて記録しています。最近は減ってきたものの、10年以上の記録で300以上のメモがあります」
 

 


春奈さんのiPhoneのメモをざっとスクロールしてゾッとしてしまいました。そこには日付、夫の暴言、どつく・ぶつかるなどのいじめ行為、酔って暴れて物に当たる・壊すなどの文面や写真の記録が膨大に保存されていました。

このような行為を夫から日常的に受ければ、正常な精神状態ではいられず、もっと支配されてもおかしくないのではと思いますが、春奈さんは根が非常に強い女性なのだと感じます。

「ミスコンの仕事がきっかけで、実際にモデルなどの仕事が少しずつもらえるようになりましたが、でも金額的にはお小遣い程度で、経済的に自立するには程遠い。他にも美容関係の派遣の仕事をしたり、知人の会社のイベントコンパニオンをしたりと試行錯誤をしていたところ……。

亡くなった父が経営していた不動産会社と土地のことで、トラブルが起きていることを知ったんです」