フードジャーナリストの小松宏子さんが、最新の食のトレンドを紹介します。 

 

北海道を旅する楽しみといえば、なんといっても大自然を間近に感じながら、都会での喧騒を忘れてのんびりと過ごせること。また、食材の豊かさにおいては、国内屈指。当然、食の楽しみももう一つの大きな目的です。このレストランに行くために旅をする、そんなデスティネーションレストランのある宿をご紹介しましょう。

① トマムの旬を味わうイタリアン「星野リゾート リゾナーレトマム」

 

北海道のほぼ中央に位置するトマムに建つ「星野リゾート リゾナーレトマム」。北海道最大級の滞在型リゾートで、冬は29のコースを持つ一大スキーエリアとなり、敷地内には氷の街ができることでも有名です。
初夏から秋までのサマーシーズンの目玉が、雲の上にいるような幻想的なひとときが味わえる雲海テラス。また、広大な牧場をカートで回りながら山羊や羊を飼育しているエリアを訪れたり、アルプスの少女ハイジの気分を味わえる干し草のベッドやハンモックでのんびりした時間を過ごしたり。
牛舎では、ホルスタインとブラウスイスが飼育され、搾乳された乳はすぐに低温殺菌され、カフェや朝食時に飲むことができます。そのさらりと甘く美味しいこと! 

さて、お腹をすかせた夕食のお楽しみはイタリアンのメインダイニング「オットセッテ トマム」で。

レストランの中はエレガントな雰囲気

お料理のベースは、トマムと同じイタリアの山岳地帯に位置するピエモンテ州やリグーリア州の郷土の味です。コンセプトはイタリア語で美食のカレンダーを意味する、「Calendario Gastronomico」。つまり、北海道ならではの旬の海の幸、山の幸を駆使した、その時期だけのお料理がいただけるということ。
テーブルの真ん中におかれたオブジェのような卵型のガラスの中には、イカ墨やトマトなどを練り込んだ、細い細いグリッシーニが。驚いている間もなく、一皿めのアミューズには、花畑を閉じ込めたような宝石箱が現れます。手の込んだ一つ一つのフィンガーフードは、食べてしまうのが惜しいほど。

アミューズの彩り豊かな小さな前菜

次の冷前菜はお皿の上に真っ白な泡が! 雲海テラスの続きのようですが、中には毛ガニの身と味噌がたっぷり。

泡で包んだ毛ガニとフィノッキオの爽やかな香り

続く温前菜は見事なアスパラガスに半熟卵を添えて。

茹でたてアスパラガスのミラネーゼ

そしてメインの肉料理は昆布で包み、竹炭の塩釜で焼いた、旨みにノックアウトされそうな一皿。

牛フィレ肉の昆布包み焼き

デザートのメロンのズッパ・イングレーゼをいただく頃には、トマムに旅して本当によかった、そんな気持ちになっていることでしょう。

メロンをスープ仕立てにしたデザート
 

飲食施設はほかにも12か所。カジュアルなカフェから居酒屋まで、多彩な美味は、長期滞在しても飽きることがありません。

▼その他料理写真は右にスワイプしてください▼

星野リゾート リゾナーレトマム
北海道勇払郡占冠村字中トマム
tel. 0167-58-1111

 
  • 1
  • 2