ここまで含めて夫が妻の話を聞いてあげられたらそれがベストなのですが、なかなか夫一人が全てを背負うというのは難しい。ですからカウンセリングを受けるなど、外で感情を吐き出せる場を設けることをお勧めします。これは、自分たちの為です。お互いに相談してストレスを解消する場を設けないと、今と同じ状況が続くだけになってしまいます。

 
「触られるのも嫌」3年の不妊治療の末、浮気に走った夫の切実な本音【カウンセラーの対処法】_img1
 

もう1つ、お勧めの対策があります。質問者さんはもともと、夫に依存しているところがあるのではないでしょうか。夫は優しいので、不妊治療において妻の気持ちを優先してくれているようですが、おそらく不妊治療以外のことでも質問者さんを優先してきたのではないかと思います。

たとえばインテリアのこと、何を食べるかといったことなども、自分の希望をおさえてきたのではないかと。そういうストレスもあって、浮気せざるを得なくなった……。この場合の夫の浮気に関しては、善悪ではなく、浮気せざるを得ない環境をお互いに作ってしまった、と言えるでしょう。つまり、質問者さんは夫の愛情に依存し過ぎ、夫は夫で妻に依存させ過ぎた。完全に、夫婦関係が対等でなくなってしまっているのです。そこで、妻は夫から自立をする必要が、夫は妻を対等に見る必要があります。

今回の浮気の問題が起こり、夫は初めて「昔のように好きではない」「セックスしたくない」といった本音を語ることができたわけです。夫婦でこのような本音の話ができることは、非常に大事で、素晴らしいことなのです。そこで、これをもっと有効的におこなっていける方法をお伝えしたいと思います。

それは「夫婦会議」です。やり方は次のようになります。

① 夫婦で先攻と後攻を決めます。
② タイマーを30分に設定して置きます。
③ 先攻の人が自分の思いをただただ話します。
④ タイマーが鳴ったら途中でもやめて、後攻の人がまた30分、自分の思いを話します。
⑤ タイマーが鳴ったら終了。これを1セットとします。

ポイントは2つあって、1つは、30分以上は話さないことです。人が集中して人の話を聞けるのは、20〜30分までなのですね。30分以上話してしまうと、相手を理解する気持ちより「どうでもいい」という気持ちのほうが大きくなってしまいますので、注意が必要です。

もう1つは、相手が話している間は絶対に口を挟まず、黙って聞くことです。自分の思いと違うことを言われると、つい反論したくなると思いますが、そこはこらえてください。人は、絶対に否定されずに話ができる、という場が持てると、日常にものすごい安心感が生まれるのです。

できればこの「夫婦会議」を週に1セットおこなってください。たとえば「毎週月曜の21時から」など、いつおこなうか日にちと時間を決めておくといいでしょう。こうしてお互いに言いたいことを言えるようになると、お互いにストレスが溜まりにくくなりますし、お互いを理解できるようにもなってきます。質問者さんの夫はもともといい人ですから、このように吐き出せる場さえできれば、夫婦の関係性はかなり良くなるのではないかと思います。

言いたいことを言ったら夫にますます嫌われないか……という不安もあるかもしれません。ですが夫は「離婚しない」と言ってくれているのです。その言葉を信じて、夫婦が対等になれる努力をおこなってほしいと思います。

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PROFILE
 取材・文/山本奈緒子
この記事は2019年10月12日に配信した人気記事の再掲載です。

 

前回記事「夫以外の男性が気になる…心が暴走しそうな時のセルフコントロール術」はこちら>>

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