「日本人は和を大切にする」というと響きは良いのですが、それによって皆がいいと言うものは自分もいいと思わなければいけない、と思い込まされているところがあります。その結果、「かわいいと思えない私は子どもを産むべきではなかった……」などと自分を責める方向にいってしまう。でも嫌なものは嫌なのだから仕方がありません。それ以上でもそれ以下でもないのです。ですから「私はそういう人」と受け入れて、自分が好きなことを楽しんでほしいと思うのです。
私のところにも「子どもを愛せない」という相談は多く寄せられます。でもそういう方は、一方で犬や猫が大好きで、何匹も飼って大切に育てていたりします。ただ好きなものが違うだけなのに、多勢に飲み込まれて自己肯定感を失い、苦痛や惨めさを覚える。そういった方は非常に多いのです。ナオリズムさんも自身のことを「異常だ」とか「欠落している」などと書かれていますが、そういった考えは捨てましょう。あなたは正常です。今のナオリズムさんに必要なのは、無理に子どもを愛そうとすることでも、子を産んだことを後悔することでもなく、自分は子どもを好きではない、ということを認めてあげる「自己肯定」です。
子ども好きではないと認めると、まわりとの軋轢が生まれないか心配になるかと思いますが、大丈夫です。「嫌い」をきちんと受け入れれば、それ前提での人間関係を築こうとするようになりますから。職場の人間関係でも、嫌いな人とは嫌いなりの付き合い方をしますよね? でも嫌いな人を好きになろうとすると、途端に苦しいものになってしまいませんか?
それに、ナオリズムさんが子ども嫌いだと知られれば、周囲の人もその前提で付き合おうとするようになります。あまり子どもの世話を頼まれなくなるとか、子どももナオリズムさんのまわりでは騒がなくなるなど。しかし今のままでは、「何だか冷たい」、「本当にこの人は子どもが好きなのだろうか?」などと疑り、娘さんもお孫さんも苦しむことになります。
何よりナオリズムさん自身、嫌いなりの対応ができるようになるでしょう。「まあ、おこづかいぐらいはあげておこうか」などと(笑)。反対にあまり我慢をしすぎると、イライラが溜まって、かえってひどい仕打ちをしてしまうことも多いのです。虐待防止のためにも、社会の風潮に流されず「私は私」と認めてあげてください。
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- 根本裕幸1972年生まれ。1997年より神戸メンタルサービス代表・平準司氏に師事。2000年にプロカウンセラーとしてデビュー。以来、述べ15000本以上のカウンセリングをこなす。2001年、カウンセリングサービス設立に寄与。企画、運営に従事し、2003年からは年間100本以上の講座やセミナーもこなす。2015年より独立。フリーのカウンセラー、講師、作家として活動している。『いつも自分のせいにする 罪悪感がすーっと消えてなくなる本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』(大和書房)、『子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる』(実務教育出版)など著書多数。ブログはコチラ→https://nemotohiroyuki.jp/ この人の回答一覧を見る
- 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
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