いまだ高い価格だが、コロナ対策に意味はあるのか?


マスクは実際、有効なのでしょうか。

まず前提として、布マスクは理論上、うつ「る」ことを防ぐ目的ではなく、うつ「す」ことを防ぐ目的で設計されたものだということをご理解ください。うつ「る」ことを防ぐためには、マスクは顔全体に常時密着していなければならないと思いますが、そうはなっていないですよね。

それでは実際の有効性はどうでしょうか。実は、布マスクに限らず、紙のマスクを含めても、公共の場で使用されるマスクの有効性を示した良質な研究はほとんどなく、エビデンス(科学的な根拠)は極めて限定的と言って良い状況です。まして、新型コロナウイルスについては、尚更です。

風邪などのウイルス感染全般に対するマスクの有効性についてまとめた研究では、マスクの装着が僅かながら感染拡大を抑える可能性があると結論づけています(文献2)。一方、実際の新型コロナウイルスの患者にマスク装着をさせた研究では、患者さんが布マスクを装着した状態で咳をすると、20cm先でウイルスが一定数検出されてしまうことを報告しています(文献3)

これらの論文から言えることは、マスクは少なくとも完璧なフィルターではないと言うことです。
 
ただし、エビデンスがないということは、決して「有効ではない」ともイコールではありません。ただ、有効かどうか分からないだけです。この「分からない」ということを理解しておくことこそが大切だと思います。

厚生労働省は、マスクの有効性について、①咳やくしゃみなどの飛散を防ぎ、手指で口や鼻に触れるのを防ぐ効果、②喉・鼻などの呼吸器を湿潤させることで風邪等に罹患しにくくなる効果、③洗濯することで繰り返し利用できるため、マスクが手に入らない不安の解消や、医療機関や高齢者施設などマスクが不可欠な方々にしっかりマスクを届ける効果、を挙げています。

特に①や②は学術的な裏付けが十分あるわけではありませんが、理論上はこのように役立つ可能性も考えられるわけです。
 

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