テレビやラジオ、イベントなど幅広く活躍する、話すこと・聞くことのプロであるフリーアナウンサー安田佑子さんがテレビ会議で気をつけるべきポイントを解説します。

テレビ会議はテレビとラジオとイベントを同時にやっているようなもの

安田佑子(やすだゆうこ) フリーアナウンサー。作詞&訳詞家。テレビ局のアナウンサーを経てフリーに。気がつけば、ずっと言葉を使って仕事をしています。2004-2007年に韓国に留学。帰国後はミモレはじめファッション誌のトークイベントや東京国際映画祭、韓流イベントMC。TBSラジオ「嶌信彦 人生百景 志の人たち」に出演中。作詞曲に「風のオリヴァストロ」、NHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」挿入歌「恋のうた」、明治座ミュージカル「ふたり阿国」ほか。
 

家の中でずっと同じ場所に座り、画面の中の相手だけが替わるテレビ会議。
便利ですよね。そして…ちょっと疲れてきましたよね(笑)。 実際、ネット上では「Zoom疲れ(Zoom fatigue)」とか、「ズムハラ(テレビ会議ハラスメント)」、なんていう言葉まで聞かれるようになりました(ここではZoom=テレビ会議システムという意味で書かせてくださいね)。普段、人前で話したり、インタビューの機会が多い私も、テレビ会議と対面では勝手が違うと感じています。例えると、テレビ(レンズ越しに話す)と、ラジオ(相手の話をよく聞き、あいづちよりうなずきを優先)と、イベント(大人数の反応を見る)の司会を同時にやっているようです(笑)。レンズのすぐ下に相手の顔も映っているので、視線の位置もまた難しいのです。

 

テレビ会議というのは、「双方向コミュニケーション」の本質が見えるシステムだなと思います。自分やチームに今、足りないものが際立つんですよね。
対面でもギクシャクしていたチームがテレビ会議で突然まとまるわけもないですし、普段、会議中にぼんやりしている人は、画面だとぼんやり顔が正面を向いていますからよく見えます。話が単調で長い人のプレゼンは永遠に感じます。


今まで自分のコミュニケーション力に問題を感じていなかった人でも、
「あれ。なんか違うぞ」「伝わってないな」という感触があるはずです。目ヂカラが武器の人がテレビ会議で相手の目を覗き込んだところで全く目は合っていませんし、プレゼン途中の斬り込み隊長の発言もフィルター(画面、マイク、スピーカー、遅れも含む)を通すと相手にはよく聞こえず、会議の進行まで止まってしまうわけですから。逆を言うと、テレビ会議をうまく使いこなせれば、対面時のコミュニケーションでも大切なスキルが身につきますよ。

テレビ会議ではとにかく「相手のためにアクションする」がポイントです。
会議の前にさっと読み返せるように、テレビ会議で意識したいコミュニケーションをリストにしました。
 

会議を始める前に。気持ちが楽になる設備、設定、環境作りを


テレビ会議では、話し方や聞き方の前に、まずは環境を整えることも大切。ちょっとしたことですが、このふたつがクリアになっているかどうかで、会議中のストレスが雲泥の差です。

自分だけ画面がフリーズまたはダウン…謙虚に。そして相手のも許す。


在宅ではどうしても環境や設備の個人差があります。一度ダウンやフリーズを経験しているなら、事前にその可能性があることを伝えましょう。しばらくは間違いなくテレビ会議は主流になります。自分もラクになるし相手も楽になることです。チームで最善策を提案し合いましょう。

自分の顔を見たくないけどビデオオンがルール…カメラの高さを上げてみる。


机にノートパソコンやスマートフォンを置いていると、自分の顔はあおって撮影されることになります。この下からの「あおり顔」は5歳増。誰でもイケてません。端末の下に本を置くなどして高さを上げて、レンズを自分の目線に合わせると、ちょっぴり自分が許せるかも。