そう考えますとマンションのローンというのは、結婚も出産も未定である人の人生の荷物としては、ちょっと重すぎやしないでしょうか? 金銭的に余裕があり、即金で買うのならいいと思うのですが、何十年ものローンを組まれるわけですよね。30代というのはまだまだこれからの人生が流動的ですので、できるだけ荷物は軽いほうがいい。そのように私は思うのです。
また介護についても、お伝えしたいことがあります。もちろんお母さまの介護に備えることは良いと思います。が、むしろ今は、介護が必要にならないよう、お母さま自身が健康に取り組むほうが大事だと思うのです。たとえば運動習慣を身につけることや、食事に気を付けるなど。いきなり同居をしなくとも、まずはそういう働きかけをされてはいかがでしょうか。
今、コロナウイルスによって社会は大きく変わろうとしています。これからどうなるかは誰も分かりませんから、そんな中で大きな買い物をすることにはより一層慎重になられたほうがいい。自分を取り巻く環境がどうなるか分からないときは、なるべく流動的に、どうにでもできるようにしておく。大事なものは心の中でだけ持っておく。私はそれが大事だと思っています。
私は普段、「こうしましょう」とか「これはやめましょう」となるべく言い切らないようにしているのですが、今というタイミングでローンを組んでまでマンションを購入されることに関しては、もう少し様子見をしたほうがいいと思います。少なくともコロナウイルス問題が落ち着くまでは……。
prk0406さんはこの先独立を考えていらっしゃるとのことですから、今はそちらにお金を投入されることを考えてほしいとも思いました。30代前半という年齢でこのような決断をされているのは、ここには書かれていないご家族の事情もあるのではないかと思います。そのように事情を抱えられているなら、尚のこと、この先何が起こるか分かりません。ならばより流動性を保っておくことが大事だと思うのです。身軽であれば、それだけ選択肢も広がりますから。
・子のいない夫婦がしておくべき「終活」を教えてください【50歳女性】
・相続問題で叔父と絶縁、父の眠るお墓はどうすべき?既婚30代女性の場合
・親から継ぐ家や土地が正直負担…本音を言えない嫁へのアドバイスは
・未婚子なしの私が墓を継ぐ!今できる対策は「人間関係の紐解き作業」
・継母が認知症に…今は疎遠でも継子の私が世話するべきですか【40代女性】
- 金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)、『死後のプロデュース』(PHP新書)、『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。 この人の回答一覧を見る
- 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
前回記事「入院した夫の心ない言葉に絶望。看病の大変さを理解しない相手への対処法とは」はこちら>>
- 1
- 2
終活ジャーナリスト 金子稚子さんの回答一覧はこちら>>