このこじらせた思考パターンを解きほぐすために大切なのは、「手が届きそうだから」という過去の延長線上で目標設定をするのではなく、心からなりたい未来の「私」を思い描くことです。

心から望む未来が具体的に思い描けた瞬間、行動は一気に加速します。ゴールを心から望む自画像に設定できると、そこに近づいていく過程に一体何が必要なのか、具体的に見えてくるからです。

 

こんな生徒さんがいました。
Iさん(30代・会社員)は、結婚して8年目。子どもはなく夫と2人暮らし。最初は、ダイエットの目標として「夫には、体型を指摘されてばかり。愛情も感じないのでダイエットに成功して、自分に自信をつけて離婚したいんです」とおっしゃっていました。

 

けれど、本当に思い描く未来から目標を立て直してみると、「本当は、また女性として見てもらえる自分になりたい。うまくいかないからと目を背けないで、向き合いたい」と方向性がガラリと変わりました。「一度うまくいかなくなってしまった」という過去にとらわれる必要がないと気づき、方向性を変えた途端、3ヵ月でダイエットに成功。もう一度夫婦関係を見つめ直し、体型だけでなく夫との絆も取り戻しました。

また、Hさん(30代・会社員)は、「長く付き合って、結婚まで考えていたカレに振られてしまいました。やせてキレイになって見返したい」とおっしゃっていました。結婚したいのに、これまでの自分のままでは、新しい出会いもないだろう、と思いつめている様子でした。

この方も、あらためて「本当に思い描いている未来は?」と自分に問いかけたところ、「いま本当にしたいのは結婚ではない。じつは起業したかった」と、目標のべクトルがまったく変わってしまったのです。そこから小さなPR会社を立ち上げる準備をしているうちに、ダイエットにも成功していました。会社を軌道に乗せ、バリバリ仕事をするうちに出会った男性と結婚。子どもを授かって、いまでは働くお母さんになっています。

過去でも現実でもなく、未来から逆算すると、過去の実績から外れた現実的ではない、高すぎる目標設定になって失敗するのではないか。そう心配する人もいるでしょう。
けれど、もっとも大事なのは、高い、低いといった目標設定のレベルの高低ではなく、目指したい未来の方向性なのです。

次回は、「ダイエットこじらせさん」が成功するために実践すべき思考術について詳しくお伝えします。
 

「ダイエットこじらせさん」が今度こそやせる本 食事制限ゼロ、運動ゼロ』
著者:七瀬 葉 講談社 1430円(税込)

頑張っているのになかなかやせられない「ダイエットこじらせさん」の“こじらせ”を解きほぐす7つのプログラムを、実践式ワークシートに書き込みながら学べます。40年間やせられなかった女性が、3ヵ月でマイナス15kgを達成するなど、驚きのダイエットカウンセリングのノウハウが凝縮された一冊です。


構成/金澤英恵
この記事は2020年6月14日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。

 

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