推しの裸を見ると、つい毛布をかけてあげたくなります
 

本件に限らず、推しが脱がされる、というのはオタクにとって桜田門外の変。心の井伊直弼が滅多刺しにされるわけですが、以前にも申し上げた通り、なるべく推しを安易に消費したくはないという一応の倫理観と戦いながらオタクをやっているもので、どうしても「お……推しは同意しているのだろうか」とハラハラする気持ちが先に立ってしまうのです。

が、そこは推しもプロ。ばっちり体を仕上げてくれるその心意気に、ここはありがたく思う存分消費させていただこうと意気込むものの、やっぱりその肌色面積のあまりの多さに桃色吐息をあげるより先に、「誰か毛布を!毛布を!」って雪山で遭難者を発見した救助隊みたいな気持ちになってしまう。

確かに裸はエロいとは思うんですけど、そのエロさを楽しむ心理的余裕というのがこちらになく、むしろ罪悪感と羞恥心の二段攻め。一時期、舞台業界でも水泳を競技にしたお話とか、肌色面積の多い作品が目立ったのですが、制作会社が思っているほど単純に喜べないというか。むしろ2時間ずっと裸の推しに対し、「お腹冷やさないだろうか……?」とか、楽屋でムダ毛を剃っている姿とか、いらんことばかり頭によぎる。

ついこの間も絶賛沼に浸かっております『2gether』というタイのドラマで、主人公のTineという男の子の上裸シーンが連発されていたのですが、隆起した胸板が眩しい上裸よりも、むしろドキドキしたのは、袖口がざっくりしすぎて上腕二頭筋から腋下までむき出しのタンクトップ姿。もう本当けしからん(ありがとうございます)。

ドラマ『2gether』のワンシーン。写真はGMMTV公式Twitterより。

もちろん今後も推しが脱ぐ必要性があるならば、こちらも幾久しくお受けいたしますが、着衣している推しの色気も力強く訴えていきたい所存。

 

定番ですが、腕まくりしたときの血管ですとか、襟元から覗く鎖骨ですとか、裾がひらりとめくれたときに見えるおへそですとか、そういうささやかな幸せを愛でていきたい。

ブドウを一粒つまんだときの指の形とか、指の付け根に浮き上がる関節の突起とか、伏し目になったときの睫毛の影とか、頭を大きくどちらかに傾けたときの耳元から首筋にかけてのラインの美しさとか、最高に艶かしいと思います。個人的には、背の高い推しが靴紐を結ぼうとしゃがみこんでいるところが最高にえっちくて、征服欲をかき立てられるのですが、わかる人いませんか。

そして、ここぞの勝負というときは、それはもう盛大にお脱ぎいただければというところ。こちとら札束を小脇に抱えてお待ち申し上げておりますので、『anan』さま、何卒よろしくお願いいたします!
 

前回記事「ナイナイ岡村の炎上騒動から考える「長く愛される推し」に必要なモノ2つ」はこちら>>

「推しが好きだと叫びたい」連載一覧
第1回:あの日“推し”に出逢って、僕の人生は変わった
第2回:荒みがちな心を癒すのは“推しのいる生活”
第3回:ドラマ『恋つづ』から考える、推しのラブシーン問題
第4回:自粛生活では新たな推し=生きる燃料。朝ドラ俳優・窪田正孝の底知れぬ魅力
第5回:こじらせてると解ってる、でも言いたい「推しに認知されたくないオタク」の本音
第6回:「推しの顔が好きすぎて語彙力死ぬ」問題をライターの僕が本気で考えてみた【ライター横川良明】
第7回:やっぱり顔が好き!顔から推しに堕ちたオタクを待つさらなる落とし穴【ライター横川良明】
第8回:SNSで話題の史上最強沼・タイBLドラマ『2gether』の素晴らしさを語らせてくれ
第9回:ナイナイ岡村の炎上騒動から考える「長く愛される推し」に必要なモノ2つ
第10回:転機は高橋一生だった。推しの肌色面積問題、着てる方が好きなオタクの意見
第11回:オタクの心の浄化槽。男子の“わちゃわちゃ”が今の時代に求められる理由
第12回:推しが好きだと叫んだら、生きるのがラクになった僕の話

 
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