一日の大半を過ごす職場での装いは、様々なコードをリスペクトしつつも、自分らしさを存分に表現して居たい。弊社アン・ディマンシュ・ア・パリでは、ブラックで統一する事が基本のルール。
フランスでは職場での装いにヒエラルキーが明確に映し出されるのが面白い。
今年に入ってチームリーダーに昇格し、ロゴ入りのタブリエから解放された事で、装いにぐっと自由度が増した。
黒のコーディネートは私の得意中の得意。素材で遊んだり、デザインのディテールで魅せたり。アイデアには枚挙にいとまがない。少しでも違うスタイルで出社した日には、マダムとシェフが必ず褒めてくれるのが嬉しい。
ドゥーズィエム クラスのトップスとプラステのワイドパンツは、セットアップの様にピタリとハマる。特にこのパンツは格好が良く、ストレッチ素材混で動き易いのが特徴。更には洗濯機で丸洗い可、アイロン要らずの優れもの。
ドゥーズィエム クラスの褒められトップスは、シーズン毎にディテールを変えて登場するEDENという名の定番シリーズ。リラックスカジュアルなのにどこかセンシュアルなデザインが大好き!日本帰省時に新調するのが楽しみの一つに。
六カ月の営業自粛を経ての職場復帰、九月の再オープニングにはかなりの思い入れがあった私。今の自分を象徴する様な決意表明に、特別な何かを身に纏いたかった。
エメラルドを甲虫に模ったこのピアスは、偶然通りかかったレ・ネレイド Les Néréidesのショーウィンドーで見た瞬間にピンと来て、翌日には私の耳に収まっていた。
色んな意味で普段はノーチェックのメゾンだったけれど、へぇ、意外に良い仕事をしているじゃないの!と驚いた。ブティックにはご婦人達が入れ代わり立ち代わり、嬉しそうに自分への贈り物を選んでいる。日本撤退後もフランスでは元気に活動を続けているのを見て、心底嬉しくなった。
「フランス語ではスカラベと言うのよ!エジプトでは聖なる甲虫と呼ばれ、再生や豊穣、創造をもたらすシンボルとして崇められているの。エメラルドは愛と英知をもたらす崇高な石。心身の安定をはかり、思考力や判断力が身に付くとされるから、仕事場でのお守りにもなるわね」
ショップのマダムに指摘されて納得。私の憧れとする人間像と人生観が、この小さな宝石に、ぎっしりと詰まっていた。
愛と英知、心身の安定。嗚呼、人生にこれ以外の何が必要なのだろう。
憧れに近づくのはいつでも畏れが伴うし、相当の勇気が要る。それならば、時にはラッキーチャームの御利益にあやかろうか。ね、お嬢さん方!こんな口実を作って、たまには自分に小さなご褒美を。
さ、明日も頑張っていきまっしょい!
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