みなさん、こんにちは。
いよいよアウターの季節になりましたね。
今この季節にまさに愛用している一着を今日はご紹介します。
先日遅ればせながら取り掛かった衣替えで発掘した古株のカウチンセーター。藍染め師の夫が染め直したものです。
じつはこれ夫のものでしたが、サイズ的にも私の方がジャスト!ということで譲り受けました。
生成りにグレーベージュ系の柄が配されていたものを、藍で染め直すとこんな色味になります。
丁寧なハンドニットで、ざっくりとした風合いのカウチンセーター。冬を楽しくしてくれるというか、軽やかな冬のふわふわニットと同じくらい、ローゲージのニットも結局大好きです。
よく驚かれるのですが、昔ながらの藍染めは天然繊維ならほぼ染められます。
綿をはじめ、シルク、そして、このセーターのようなウールも。
シルクスカーフも染め直すことができ、タンスの肥やしになっているスカーフは見事に生まれ変わると、大人の女性たちからも大人気!
木も染まるのですが、そのことを話すと、多くの人に「えー?」と言われます。
子どもたちの洋服は、買った時は白で、汚れてくると藍色にしてもらったり
娘がまだ小さい頃は、真っ白のワンピースを気兼ねなく着させて、よく染め直してもらっていました。
もはや我が家の生活にはすっかりおなじみの藍の青色ですが、その染色の仕組みはつくづく、とっても不思議。
夫たちの行っている藍染めは「灰汁発酵建て(あくはっこうだて)」と呼ばれる古くから日本に伝わる藍の染色技法なのですが、……説明しようとすると、これがなかなか複雑です。
藍の染め液は発酵していて、そこに住む微生物が藍から青を生み出す役割を担っている……。とーっても簡単にいうと、そういうことです。
ご参考までに→Instagram:@litmus_indigo_studio_japan
より簡素化された化学的な藍染めもある中で、一枚一枚手で染めつける夫たちの藍染めは、ある意味とても古典的で、昔ながらの変わらないやり方です。それこそ化学薬品などがない時代のものなので、自然の作用に任せながら、その作用を最大限に引き出しつつ染めの作業は行われます。
染め重ねることで紺色に近い深い青色になり、一方の薄く淡い水色のような青色は、染まらなくなった藍の液で何度も染め重ねられます。藍の液の状態と、染める回数で、生み出す青色を染め分けるのも伝統的な藍染めの特徴です。
なかなか根気のいる作業で、そしてなかなかの力仕事です。日々の藍がめの管理に始まり、夫とその相方には「ちょっと変わってあげようか?」とは決して言えません。
かつて日本では、藍の葉に含まれる色素成分でしか青色が生み出せない時代があったと言われています。
どうにかして青色を手に入れたい、身に纏いたいという、いにしえの時代の人たちの試行錯誤の賜物なのか、あるいはたまたま叶った偶然の産物なのか……。あまたの知恵と、おそらく思いもギュッと詰まっていて、知れば知るほどそこには数々のドラマがあったのではないかと思わずにはいられません。
藍染めをはじめて20年以上経つ夫たちが、今なお、毎日新鮮な気持ちで藍染めに向き合っているのも、そばで見ていると、なるほど納得できます。
その藍色のセーター、私は黒のロングTシャツと黒のデニムと合わせています。
ローゲージのセーターが大人のものになるというか、黒が藍色をよりキリッと引き締めてくれるので、このくらい濃い藍色には黒を合わせることが多いです。
足元はボルドー系のサイドゴアブーツを。藍色にボルドーを合わせるこの配色も好きです。
もう少し淡い藍色には柔らかいベージュ系の色を合わせ、コントラストをつけないスタイリングにしたりと、藍色もその濃淡によって雰囲気が異なるので、それがまた楽しいところでもあります。
今日はつけていませんが、藍色に硬質のシルバーも好相性。まさにアフリカのトゥワレグ族の色で、これはまたぐっと洗練された雰囲気に。
藍色の洋服にパールを合わせるのも好きで、有機的なもの同士だからか、しっくり馴染みます。
私たちにとって藍染めのものはずっとそばにあるものですが、コロナの自粛生活を経て、その魅力をより強く実感しました。
上質で良い素材のものであればあるほど、染め直して長く身にまとうこともできますし、”捨てる”ことを簡単にしないことも今一度しっかりと意識したいと思いました。
そして、いにしえの人たちの知恵が凝縮され、自然の理にかなったどこか有機的なこの色を改めて美しいと思ったから。
藍染めの青色は、デニムと同じで、身にまとうことで表情が豊かになり、その人の色になっていきます。
今の自分の感覚に寄り添ってくれる藍色を、こんなふうに日常で気軽にまとえるのはとても幸せだな、とつくづく思いつつ、新たにこのカウチンセーターと仲良く付き合っていきたいなと改めて感じています。
気づけばもう11月も半ば近く。年末が近づいてきましたね。
このまま駆け足のうちに一年が終わりそうですが、こんな時だからこそより一層気をつけながら、2020年の残りの毎日を大切に過ごしていきたいですね。
ではまた2週間後に!
See ya!!
松井陽子
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