ただ「可愛い」でも「フェミニン」でもなく「モード可愛い」。大人の女性がおしゃれをするときに鍵になる言葉です。「モード」と聞くと、ちょっと遠いもののように思えますが、実はこの「モード」さが大人の着こなしの大事なスパイスになってくれるんです。一体「モード可愛い」とは何なのかを紐解いていきます。

ミモレでの人気動画連載『眉とメシ』やインスタライブなどでもおなじみのヘア&メイクアップアーティストの赤松絵利さん。今回の「モード可愛い」特集の発端は赤松さんの5日間コーデ。モードな雰囲気とファンシーな可愛さをMIXした着こなしが話題となりました。赤松さんのファッション遍歴やメイク論を伺いながら「モード可愛い」について考えていきます。


「可愛い」をファッションで取り入れるようになったのは大人になってから


私の好きな可愛いディテールは、どこか少女性のあるもの。たとえばフリル、リボン、レース、子どもの頃に着ていたようなものです。男兄弟に囲まれて育ったこともあり、子どもの頃はほとんど着ることなく、自分で着るようになったのは、かなり大人になってからなんです。ヘア&メイクアップアーティストを目指していた学生時代は「ヘアメイクを志す者としてとがったおしゃれで都会的でないといけない!」と思い込んでいて(笑)、かなり主張の強いファッションをしていました。卒業後にアシスタントとして働き始めてからは動きやすさを考えてスカートは封印。独立してからは少しずつ自分の好きなものを着るようになり、「可愛い」を着るようになったのです。

 

 

 

「立体感のある襟がポイントのトレンチコート。一目惚れした一枚です。ワークパンツやスニーカーなどカジュアルと合わせながらも、レザーのバッグを合わせることで大人っぽさを足してバランスを取ります」コート/デルポゾ ブラウス/コンフェクション パンツ/ミナペルホネン シューズ オニツカタイガー バッグ/ルイ・ヴィトン ソックス/パンセレラ

先に私の好きな可愛いはどこか少女性のあるものというお話しをしましたが、それは私のヘア&メイクの世界観にも通じるもの。少女性というのは、不条理さ、不完全さ、甘くて切ない世界観のこと。それを表したヘア&メイクを少女性という言葉を使っています。でも、決して若い人のためのヘア&メイクというわけではありません。完璧に整った状態はキレイではありますが、ひっかかりがなく、素通りされてしまうものだと思っていて。それ以上でもそれ以下でもないから、つまらないんですよね。だから興味を持ってもらう、ひっかかりを作るために、あえて完璧を目指さない、違和感を作るときに描く、不完全な世界観を称して少女性という言葉で使っています。それはその人の個性を際立たせる方法でもあるんです。

整っていないことの違和感が個性を際立たせる

 

 

 

 

 

 

「ウエディングケーキのような段々になったワンピース。足元にはトレンドのグリーンを。イヤリングはあえて片耳に」ワンピース/トリンカ・アンプリュアン ストール/ミナペルホネン シューズ/オニツカタイガー リュック/ホワイトマウンテテニアリング イヤリング/トーガ ソックス/パンセレラ

話を私自身の「モード可愛い」ファッションに戻しますが、私は「可愛い」は好きなのですが、フェミニンにはしたくない。だから、フリルやレース、リボンなどモチーフが甘いなら、素材はコットンなどハリ感のあるもので、シフォンなどの柔らかな素材は使わない。もしくは色は黒でクールさ、かっこよさをプラスする。その結果として、ただ「可愛い」ではなく「モード可愛い」になっているのだと思います。MIXすると整っていない、いい意味での違和感を生み出します。ヘアメイクの世界観も私のファッションも、ただ「可愛い」「きれい」ではなく、違和感、ひっかかりを作ることで個性の際立たせているんです。

ヘア&メイク赤松絵利さんのモード可愛いスタイルを見る
▼右にスワイプしてください▼

撮影/大坪尚人
構成・文/幸山梨奈

 

第1回「大人のボウタイやフリルはコンサバになりがち。「モード可愛い」は脱・コンサバする方法【ブロガー山根亜希子さん】」はこちら>>