あざと女子のテク。彼氏を「私の煉獄さん」と呼ぶ


もちろん、煉獄さんにハマるのはママだけではありません。

鬼滅がこれほどの社会現象となると、少年漫画に全く興味のない独身女子にも影響が出ています。

「私はもともと“鬼滅”に興味なんてなかったし、彼氏に付き合って渋々映画を観に行ったんです。そしたら……本当にビックリしました。煉獄さんのシーンで、私、彼が泣いてるところを初めて見たんです」

ハイテンションで口を開いたのは、証券会社勤務の丸の内OLであるRさん(27歳)。ちなみに社内恋愛中で、彼氏は花形営業部のエース。

「彼って正直ちょっとチャラいんですけど、もともと体育会系の部活出身で、妙に暑苦しい面があるんですよね。そんな彼が嗚咽する姿を見て、この人の“ツボ”は煉獄さんなんだ……と瞬時に理解しました」

そこでRさんは映画が終わった瞬間、彼にキラーワードを言い放ちました。

ーーなんか煉獄さんって、○○くんみたいな人だったね。

彼は何気ない素振りでその言葉を流しましたが、まだ涙で潤むその瞳は明らかに恍惚と揺れていたのをRさんは見逃しませんでした。ナルシストな男性には大袈裟なくらいのセリフが効くのです。

「それ以来、彼のことは“私の煉獄さん❤️”と呼んでます。その度にまんざらでもなさそうな顔でデレデレする様子が面白くって。でも“鬼滅”を観てから前より確実に仲良くなったし、一途に愛されてるような気がします」

たしかに“あなたは煉獄さん”というイメージを刷り込まれたら、男性は正義感を刺激され、下手な悪さはしにくいでしょう。

そして当然ながら、Rさんの彼のように鬼滅ファンは男性も多いです。最後にパパの意見をご紹介します。

 

パパの声「全企業の中間管理職は煉獄さんを見習うべきだ」


「いやぁ……。煉獄さんのセリフや行動は、いちいち胸に刺さりますね。大人になるにつれすっかり忘れていた熱い気持ちを思い出して、つい目頭が熱くなりましたよ」

そう言って恥ずかしそうに頭を掻いたのは、総合商社に務める・Jさん(35歳)。休日に奥様に育児を押し付けられ暇つぶしに5歳の息子と映画館にやって来たところ、すっかり煉獄さんのファンになったと言います。

Jさんはその日のうちにKindleで漫画全巻大人買いし、徹夜で読破したそう。

「なんていうか、全企業の中間管理職は煉獄さんを見習うべきだと思います。“後輩の盾となるのは同然だ”“若い芽は摘ませない”とか、上司の鏡じゃないですか。後輩に“鬼の首を切らせる=花を持たせる”仕事の仕方とか、男としてハッとさせられますね」

「自分の仕事への忠誠心や、チームワークの能力も高い。何よりアツい。僕もあんな風に後輩の成長を手助けできる上司にならなきゃと思いました。あと、お母さんのシーンは胸にくるものがありましたねぇ。男はみんなマザコンだから……」

Jさんは最後にそう言い、小さく鼻をすすっていました。

……こんな風にして、男女問わず日本国民の心を奪い「300億の男」となった煉獄さん。

彼の強い意志を受け継ぎ、社会を良くしよう、誰かのために頑張ろうと「心を燃やす」継子が増え続ければ、よもや、本当に日本社会が大きく変わるのでは……?

そんな風に思わずにはいられませんでした。

※しかしながら……最後に水を差すようで恐縮ですが、公式情報によると煉獄さんの年齢は二十歳。よって結婚して子供を5人作るどころか新卒の年齢にも満たず、煉獄さんは誰よりも年下なのでした。

文/山本理沙
この記事は2020年12月28日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。