「SNSも見られない...」妻を自宅に軟禁する、モラハラ夫の巧妙な手口_img0
 

40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。
 
「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない――。

これは立場の異なる二人の女性が人生を見つめ直す物語。

夫のストレスに苛まれる専業主婦の美穂親友の早希と久しぶりに外出し、大学時代の先輩・透と出会い楽しい時間を過ごすが、その後、夫の支配はますます強まった

 

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私には「自分」がない


最近、よく昔を思い出す。

学生時代、早希や絵梨香と渋谷で何枚もプリクラを撮り続けたり、飲み会をハシゴしていたこと。C A時代に大好きな制服で空港を歩き、海外を飛び回っていたこと。

気の置けない友人との赤裸々な女子トークに、流行りのレストランでの食事、ときに贅沢な買い物……あれは、若さゆえに手にできた特別な日々だったのだろうか。

あの頃の自分と今の自分は、外見も中身もすっかり変わってしまった。

20代と比べてすっかりおばさんになったのはもちろんだが、何より美穂は「自分」を失ったと思う。

自分の好み、自分の意思、自分の選択。

家族を優先に過ごすうち、そうしたものが生活の中から段々と消えていった。

「犠牲」なんて言葉は使いたくないし、それ以上に得たものも多い。だから不満なんて感じたくないし、ましてや自分が間違っているなんて絶対に思いたくはない。

「そのニット、胸元が空きすぎだよ。色も派手だし、下品だから他の服に変えたら?美穂らしくないな」

スーパーへ買い物へ行こうとしたところで、夫が美穂の服を一瞥して言った。

「そう……だよね」

意識的に感情を無にして、美穂はタートルニットに着替える。サーモンピンクのVネックのニットは、自分の目にも触れないように引き出しの奥に押し込んだ。

こうして今日も一つ、美穂のお気に入りは消えた。

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