自分と夫の資質を知って、家庭も育児も円滑に
ストレングス・ファインダーはビジネスシーンだけでなく、なんと「家庭でのパートナーシップの構築にも役立つんですよ」と古屋さん。
「私の知る限りでは、パートナー同士でまったく逆のタイプの資質を上位に持っている方たちがとても多いんです。だから、結婚した時には、自分と違う部分に惹かれたはずなのに、ずっと一緒にいると“あれ?”と思うことが増えたりする。ストレングス・ファインダーでお互いの資質を理解しておけば、“こんなことを言う背景には、あの資質の思考回路があるのかな”というのが見えてくるので、おそらく怒ることも減ると思うんです。
喧嘩がゼロになるわけではないにせよ、何か問題が起きても、お互いが得意な方を分担したり、話し合いができる環境を作りやすくなるので、その点は大きなメリットではないでしょうか。ただし、ここでも“あなたはこうだからダメだ!”というネガティブなレッテルを貼るのは禁物です」
まずは親たちが自分の資質を理解すれば、子育て中にイライラした時も“自分の中のどの資質がそうさせているか”を考えるきっかけにもなります。それは、自分らしい育児法を考える際にも役立つそうです。
なお、子どもがストレングス・ファインダーを行う場合は、思考や行動のパターンとなって現れる脳の“シナプス”が確立するのが15歳以上とされるため、なるべく15歳以上から行うのがいいとのこと。子どもの資質を活かした勉強法については、古屋さんはこんなアイデアを提案します。
「もちろん本人と話し合って決めるのが前提ですが、もし“活発性”と“コミュニケーション”の組み合わせを持っている子なら、喋りながら学ぶことで学習効率が上がる可能性があると思います。学んだことを話してもらうとか、誰かに教える立場にチャレンジさせてみる、などですね。逆に“内省”の資質を持つ子どもであれば、じっくり考えることのできる環境と時間を作ってあげるといいと思います。どんな資質を持つ子どもたちにも共通して言えるのは、苦手科目の克服よりも、成績の良い科目に費やす時間を忘れないということ。なぜなら、得意科目が確立すると、勉強自体への意欲も上がる傾向があるからです。子どもたちの強みに、ぜひ着目してくださいね」
最後に、古屋さんのトップ5の資質とその分析についてお聞きしたところ、こんな素敵なエピソードを教えてくれました。
「私の資質トップ5は、調和性、達成欲、最上志向、学習力、アレンジです。中でもずっと変わらないのは“調和性”の高さですね。私は昔から“人はなぜ怒るのだろう?”と考えていて。世の中から“無駄な対立をなくす”ことが人生のテーマにもなっています。ストレングス・ファインダーを用いてコーチングをさせていただくようになってからは、一人ひとりが違っていいんだと確信を得ることができました。コーチングさせていただいた皆さんを見ていても、自分だけの強みを知ると、無駄な対立や喧嘩、摩擦みたいなものがなくなっていくのをすごく感じています。ですから、ストレングス・ファインダーでひとりでも多くの方に自分の強みを知ってもらうことは、私のミッションだと思っています。人は質問されることによって多くの気づきを得ますので、皆さんも自分の強みがわかったら、“私ってこうなんだって。あなたはどう?”と、ぜひ誰かと語り合ってみてくださいね」
『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』
著者:トム・ラス 翻訳:古屋博子
日経BP・日本経済新聞出版社本部 1800円(税別)
欠点を直すためではなく、強みを伸ばすために開発された〈ストレングス・ファインダー〉。テスト結果でわかる34の資質と、その資質を持つ人々の事例、さらには資質の具体的な活用法について詳細に解説します。2001年の旧版発売以来、日本でも多くの人たちの才能・資質の原石を輝かせてきた、才能測定ツールの決定版!
※ストレングス・ファインダーはウェブテストでのみ行うことができます。なお、本書綴じ込みにある「アクセスコード」が必要です(利用は1回のみ)。
写真/稲垣純也(古屋博子さん)
取材・文/金澤英恵
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