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渡辺ミキ社長、私よりも“青木さやか”を諦めなかった理由を教えてください

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タレントは“駒”で当たり前
選んでもらえるだけ光栄なこと


渡辺:そういえば、面接の時にもってきてくれた未来年表には、“スタッフさんとうまくやれるようになる”っていろんなところに書いてあるよね。

青木:愛情に飢えて育った人間だからでしょうか、スタッフさんが自分に対して愛情がない、使われているって感じると、傷ついて、分かってほしくて攻撃するしか自分を表現できなかったのかもしれません。素直に甘えるという表現方法が、私にとってはすごく難しいことだったんですよね。

渡辺:でも今は、自分のことを理解しはじめたことで、人のことも理解できるようになってきたね。

青木:はい、だいぶ人を信用できるようになりました。当時は、自分は“駒”だと思われているって感じると、卑屈になっていました。

渡辺:でも“駒”とみなされることは、悪いことじゃないよね。“駒”で当たり前というか、むしろ作品のパーツに選んでいただけるなんて、光栄なことだから。でも、青木が思ったようなことを、他のタレントも感じてしまうことがあるんです。人間だから仕方がないけれど、タレントは“商品”ですからね。

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青木:そうなんですよね。 今はそう思えます。当時は、“商品の自分”と“本当の自分”にあまりにも大きなズレが生じてしまって。私の背景にある自己肯定感の低さが、これまた悪さをするんですよね。自分でも、やっかいな性格だなって思います(笑)。

渡辺:作品のために生きることがつらくなるのよね。でもまあ、コンプレックスのない人間は面白くないですから。勘違いして強い人はいっぱいいるけれど、そういう人もいつか恥ずかしい自分に気づくんです。そこからまた、自分の特性を客観的に理解して、セルフプロデュースして、何もわかっていなかった時の強さと同じくらいのエネルギーを発することは絶対にできるはず。簡単なことではないけれど、青木にはその道を模索してほしいし、今がまさにその最中だとも思っています。

 

青木:未熟ながらもブレイクさせていただいた頃とは違うエネルギーを発せられるかは未知数ですが、私の中で「やってみよう!」という気持ちは強いです。

渡辺:よかった。そのイメージを持てていること自体が、前に進めているという証であり、プロセスであり、ゴールでもあると思いますよ。