契約件数は例年の倍。湘南エリアは土地も家も足りない

夜明けの由比ヶ浜。冬でもSUPやサーフィンを楽しむ地元の人が大勢います。

訪ねたのは、鎌倉・逗子・葉山の物件を扱う株式会社エンジョイワークスさんです。以前から移住者向けのイベントを頻繁に開催し、2020年5月には物件情報と併せて「with/afterコロナ」の暮らし方を提案する「新しい暮らし発見不動産」というWebサイトをオープンするなど、いち早くコロナ禍での移住に対応してきました。

営業部の秋田佳子さんにここ1年の移住事情を尋ねると「早めの方は緊急事態宣言明けの5、6月から内見に来られて、7、8月はかつてない忙しさでした」と言います。去年の夏から本格的な移住ブームが始まり、今年に入ってからは賃貸・売買ともに強気の価格設定が増えているのだとか。契約件数は例年の倍ほどで、今や家も土地もありません。社内では仕入れを強化すべく、スタッフは常に空き地をチェックしている状態だと言います。

 

場所によっては世田谷と同じぐらいの価格相場


「皆さんそれぞれ理想としている家はあると思いますが、今は売り手市場で物件も少ないので、とりあえず一度住んでみるという軽い気持ちの方が始めやすいかもしれません。最近はこだわりが強い方も多く、絶対に海が見える家がいいという方も増えていますが、正直そういった物件はなかなか出ないのが実情です。こだわって探し始めると結局引っ越しできずじまいになってしまいますし、すぐに都内のご自宅が手放せないのであれば、セカンドハウスとして借りてみるという選択肢もオススメです。住んでみないと分からないことも多いので、環境を変えたいという気持ちが少しでもあるのなら、そこまで気負わず引っ越してみてはいかがでしょうか」(秋田さん。以降「」内、同氏)

売買物件は別ですが、確かに周りも湘南エリア内で転々としている人が多く、「今の自宅は2軒目、3軒目」という方がほとんど。移住希望者は20代〜40代が多く、カップルからファミリーまで幅広い層が訪れます。鎌倉の人気エリアは駅から徒歩圏内で、中でも湘南ビーチの代名詞とも言える由比ガ浜は激戦区。駅周辺には億ションも多く、分譲マンションは世田谷区と同じぐらいの価格相場と思っていただければ想像がつきやすいかもしれません。

のどかな雰囲気の坂ノ下海岸。ワカメが干されているのを見ると、春が来たなと感じます。


『最後から二番目の恋』のような雰囲気が味わえる「長谷・坂ノ下」


「海側のエリアを希望される方が多いので海近物件はいろいろとご案内しますが、材木座や長谷・坂ノ下もオススメです」と秋田さん。材木座と長谷・坂ノ下は同じ漁師町で、それぞれ20分ほどで行き来できる距離ですが、住民のカラーは異なります。材木座はサーファーも多くラフな感じで、昔から住んでいる方と移住組の融合が盛んな地域。移住組が開いた店に地元の人が集うなど、交流も多く活気あるエリアとして注目されています。

一方の長谷・坂ノ下エリアは落ち着いた雰囲気で、ここ数年で人気ベーカリーが集まるパン好きの聖地になりました。観光客も多く、エリア的にはドラマ『最後から二番目の恋』のような空気感を想像していただくとしっくり来るかもしれません(実際ロケ地となったカフェがあります)。ちなみに湘南の中には、藤沢や辻堂のように駅から海まで徒歩20〜45分ほどかかるようなエリアもあるので、まずは駅と海との距離を基準に住みたい地域を決めるという方法もあります。