怒りは理想と現実のギャップで起こる
 

N 次に講師からは、「『道端でスマホをいじって歩いている人とぶつかった』という出来事があった時に、あなたは『その人に対して怒った』のか、それとも『スマホをいじっていてぶつかった事に対して怒った』のか?」と質問されました。
正解を言うと、この2択は、実はどちらも間違っていて、人が怒るのは、実は「相手のせい」でも、「こんなことが起きたから」の、どちらでもないそうなんです。

 


「べき」が裏切られると怒りは爆発!


N 人は、自身が持っている譲れない価値観=『べき』を軸にして、怒りが生まれるのです。

編集部 例えば、「挨拶をするべき」「道ではスマホをいじるべきではない」「小学生はまじめに勉強すべき」「子どもは親にさからうべきではない」「部下は上司に従うべき」とか?

N まさに。「自分が決めた理想とかけ離れた時=期待を裏切られた時」に、怒りは発生する仕組みになっています。


怒りは内包する負の感情が多いほど爆発する
 

N さらに、その「べき」が裏切られた時が、着火システムだとすると、導火線は何に繋がっているか、それは、自身が内包する様々な負の感情なのです。「つらい、眠い、疲れた、焦り、不安、苦しい、怖い、空腹、悲しい、心配、etc.」というようなマイナスな感情や状態の量が、怒りの大きさや持続性に影響を与えるわけです。

編集部 着火システムと燃料の仕組み、すごくわかりやすい。自分が溜めてきた負の感情量が、怒りの強度、持続、頻度を左右するわけですね。

N 仕事から疲れて帰ってきたとき、おなかがすいているとき、朝早く起こされて眠たいとき、明日の仕事のことが心配なとき……。今までに溜めてきた感情もそうですし、加えて、自分の状況が悪いときほど、簡単に大きく怒りが爆発するんです。

編集部 いろんな方法で怒りのメカニズムが客観的に説明され、解き明かされていくんですね。

N アンガーマネジメントは「怒りのメカニズムを知ることによって、自身の怒りをコントロールし、怒りの爆発を避ける」というスマートな方法論であることは間違いありません。

編集部 怒りのメカニズムはかなり把握できました! 

N その”怒り”をどうコントロールすればいいか? それがアンガーマネジメントの真髄なのですが、最初にメカニズムを知ることで自分を俯瞰して見られるようになるんです。
 

次回(6月29日公開予定)は、実際のコントロール方法=アンガーマネジメントについてご紹介します。

構成・文/藤本容子

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