米倉涼子さんが見た、最新のおすすめエンタメ情報をお届けします。
世界中で公開されるなり話題となっているのがマーベル・スタジオ最新作『ブラック・ウィドウ』。日本語吹替版でタイトルロールのブラック・ウィドウを演じる米倉涼子さんに、お話を伺いました。
――『アベンジャーズ』シリーズの日本語吹替版で声優を務めてきたブラック・ウィドウが、ついに1本の映画になりましたね。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』から2年がたってついに公開されることになり、私もとてもうれしいです。
アイアンマン、ハルク、ソーなどたくさんのヒーローが主人公の映画が作られていますが、きっとブラック・ウィドウのファンの方は心待ちにしていましたよね。これまでのシリーズで、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフの過去についてはバレリーナの記憶を植えつけられていたシーンなどが登場していましたが、ここまで明かされるのは初めて。
幼少期の“家族”とのエピソードがじっくりと描かれています。
子供の頃のナターシャの髪の毛の色は、アメリカのキャンディのようなブルーなのが印象的でした。
スパイの一家だから追っ手がくると、その度に逃げなきゃいけない。ナターシャが小さな妹を守るように、「こんなことを彼女にさせないで」みたいに言うシーンがあって、そういうセリフのひとつひとつがつながっていく物語なんですね。
幼少期の彼女たちの行動や言葉を見逃さないようにすると、『インフィニティ・ウォー』や『エンドゲーム』を改めて観たときにもっと楽しめるんじゃないかなと思います。
――“孤独な暗殺者は、なぜアベンジャーズになったのか”というキャッチコピーの通り、悲しい過去も描かれています。
でも意外と重々しいシーンだけじゃないなと思いました。最初は“家族”でとうもろこしを食べていたりして平和っぽく始まるんですけど、急にアクションシーンになるのも面白い。
お父さんがトム・クルーズばりに飛行機の翼に飛び乗ったりするんですよ(笑)。
印象的だったのは、お母さんが撃たれてしまい、ナターシャが子供ながらにやるっきゃない! と覚悟を決めるシーン。彼女がのちになぜアベンジャーズとしてあそこまで仲間のために奔走できたのか、このシーンがあるからこそ説得力が生まれているんですよね。
大人になって“家族”と再会するのですが、妹を演じるフローレンス・ピューは、顔の輪郭がスカーレット・ヨハンソンによく似ていますね。お父さんのレッド・ガーディアンがくだらないことを言って笑わせてくれて、コメディ要素が入ることで重すぎない作品になっています。
――最初の頃はアフレコも苦労したとおっしゃっていましたね。今回はいかがでしたか?
今回が一番楽しかった! アクションシーンだけではなく、言葉が多くてキャラクターを演じる楽しさを味わえたからかもしれません。
最初に関わらせていただいた頃はブラック・ウィドウが主役の映画が作られるとは思っていなくて、だんだん数を重ねるごとに、もしかしていつかくるのかな!? と思うようになって。
マーベルについて知らなかった私がすっかり一ファンにもなったし、こうして単独の映画の声も担当することができて本当にありがたいと思っています。
――公開直前イベントではスカーレット・ヨハンソンからのサプライズメッセージも届いていました! 以前、この連載でもお話を伺いましたが、『アベンジャーズ』のLAプレミアではレッドカーペットを歩いたり、キャストの方たちにインタビューもしていますよね。
すごくうれしくて、イベントの後でスカーレットの映像を個人的にいただいてインスタのストーリーにもあげさせてもらったんです。我ながら自分らしくない行動だなと思ったのですが、それくらい感激しました。
スカーレット・ヨハンソンに会ったときに思ったのは、ハリウッドでスターとして活躍する人は、自分を輝かせるスイッチをオンにできるボタンを持っているんだろうな、ということだったんです。選ばれるべくして選ばれた人なんだろうな、と。
彼女とはそんなに長い時間話してはいないのですが、ブラック・ウィドウの吹き替えする際のアドバイスを聞いたら「ジャック・ダニエルをたくさん飲んで酔っ払って、たばこを吸っているようなハスキーな感じで」と答えてくれました(笑)。
レッドカーペットで一緒に写真を撮ったのも、いい思い出です。『CHICAGO』のキャストやスタッフの人たちに「涼子はどんな仕事をしてるの?」と聞かれて、『アベンジャーズ』シリーズの吹き替えの声優もやっているよ、と答えると「すごい!」という反応が多かったんです。
そういう意味でも、ブラック・ウィドウの声のお仕事は、私のキャリアのなかでとてもいい出会いになりました。スカーレット・ヨハンソンがブラック・ウィドウを演じるのは、たぶんこの映画が最後。ちょっと寂しいのですが、これからはファンとしてマーベル作品を楽しみたいと思っています。
『ブラック・ウィドウ』
7月8日(木)映画館 & 7月9日(金)ディズニープラス プレミア アクセスにて公開中
『アベンジャーズ/エンドゲーム』から2年、マーベル・スタジオ映画が帰ってくる。孤独な暗殺者ブラック・ウィドウはなぜ、アベンジャーズになったのか――ブラック・ウィドウの前に突如現れた“妹”エレーナ。 姉妹は、自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織レッドルームの秘密を知ったことで命を狙われる。唯一の味方は、かつて組織が生み出した“偽りの家族”だけ。だが、この家族の再会によって、レッドルームの恐るべき陰謀が動きだす!ブラック・ウィドウの作られた過去との戦いが、世界の命運を握る
監督:ケイト・ショートランド
出演:スカーレット・ヨハンソン、フローレンス・ピュー、レイチェル・ワイズ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©Marvel Studios 2021
※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。
【過去の『アベンジャーズ』吹き替えのエピソードはこちら】
・アフレコの裏話も!すっかりアクションにはまっています『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』>>
・【シネマコレクション・50】3回目のアフレコ、苦手なのはセクシーな声!?『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』>>
・【米倉涼子の新作映画レビュー】吹替えを務めた『アベンジャーズ』シリーズついに完結!>>
スタイリスト/栗田泰臣
取材・文/細谷美香
構成/片岡千晶(編集部)
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